TKA(人工膝関節)術後の創治癒について~いつから創の状態は良くなるの?~

TKA術後の理学療法について
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どうも。

管理人のKnee-syudyです。

 

TKA術後のリハビリを行う際に、創部のことを考慮してアプローチしていますか?

術直後は創部周囲が保護されているため、あまり触れることはないと思いますが、膝の屈曲ROMの拡大を図る上で膝前面のハリ感を訴える患者さんが多くないでしょうか?

その際に、創部の問題を考えることがあると思います。

 

この時に、創部に対しどのようにアプローチすればいいのか?、そしてその大前提として創部の治癒はどうなっているのか?など気になってくると思います。

 

”触らぬ神に祟りなし”ということで膝屈曲ROMの制限因子の一因として挙がっているのでは?と感じながらも他の因子に対してアプローチを行い、創部の問題をうやむやにしていることもあるのではないでしょうか?

 

今回は、そういったTKA術後の創部の状態についてまとめていきたいと思います。

 

 

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1.膝関節周囲の血行と創治癒

膝関節では股関節と異なり関節を被覆する軟部組織が非薄であることから、手術創に関する合併症が相対的に多くなります。

膝蓋骨前面には脂肪組織は少なく、滑液包を挟むことで皮膚との可動性が得られていますが、膝関節の前面からアプローチするTKA(人工膝関節)では、この部位に操作を加えることになります。

図:膝関節周囲の血管分布について

人工膝関節全置換術[TKA]のすべて改訂第2版より一部改変し抜粋

 

創辺縁の皮膚への血行を考えると、穿通枝によって栄養されることは難しく、主に周囲から水平方向に流れる血流で栄養されながら、創治癒が進行していくことになります。

また膝蓋骨は半分が関節面であり、周囲からの血流は限られていますが、関節を展開するためにはこれらの栄養血管を切離する必要があります。

上記の解剖学的な特徴は、創治癒の観点からは不利な点であり、TKAを行うにあたり、膝関節周囲の血流に関しても十分に考慮することが重要となってきます。

 

また創治癒が遷延すると、可動域訓練や筋力トレーニングの妨げになるため、臨床成績の悪化にもつながることから、リハビリ場面でも創部の状態をチェックする必要性は高いといえます。

 

 

2.TKA術後の創治癒について

膝のROM制限の要因の一つとして、皮下の滑走性低下や皮膚の伸張性低下が唱えられています。

関節は皮下での滑走と皮膚自身の伸張とを同時に生じさせることによりスムーズな運動を可能にするとされています。

臨床では、TKA(人工膝関節)術後のケロイド形成や皮下の癒着、瘢痕によりROM制限が生じた患者さんを多く経験します。

 

文献によると、傷治癒過程において皮膚を含めた軟部組織は術後2~3週である程度の強度をもち、表面が平滑な瘢痕を形成すると報告しています。

 

つまり、術後4週においては創部の瘢痕形成が完了しているため、創部周囲の伸張性が低下したと考えられるわけですね。

 

ということは創部自体の問題は減少しても、ROMの観点からは術後4週までにある程度の可動域の確保が重要になることを示唆しているわけですね。

 

他の文献の中では、

「術後4日目までは創部の直接的な介入を控え、それから術後3週間まではコラーゲン生成と分解が活発になることからROM拡大に最適な時期となる」

と記されています。

 

それ以降は組織の線維化が起こり瘢痕強度が増し、

さらに時期が進むとⅠ型コラーゲンの密度が増し創部として成熟し、

いくらROM拡大を目指しても治療反応は乏しくなってくるようです。

 

術後4日までは血餅形成される瘢痕組織形成期であり、組織は非常に脆弱な時期である。

この時期は創部を直接触れることは避け、組織の修復を優先させるべきである。

術後5~21日はコラーゲン生成と分解が活発になり線維の増殖と収縮を認める時期であり、可動域運動に適している。

術後21~60日は線維化が起こり、瘢痕強度が増す。

術後60~360日では、Ⅰ型コラーゲンの密度が濃く多く、創部として成熟するため、治療反応性は不良である。

島田 昇 人工膝関節置換術後患者に対する理学療法管理 理学療法の臨床と研究 

第 28 号 2019 年より引用

 

このことから、TKA術後のROM拡大を図っていくには、術後4日目以降から術後3週(術後21日)までの期間が勝負の時期になるといえますね!

 

ここでの可動域がその後の治療成績に影響してくるといっても過言ではないのでしょう。

 

確かに、臨床上の経験でも術後数週間、可動域制限が生じている場合、その後も段階的な可動域upは得られていないことが多いですね…。

 

 

補足~TKA術後の創部の滑走性を促す治療アプローチについて~

創部の状態が安定した場合は、創部の癒着を予防するために、組織のモビライゼーションを行っていくことが推奨されます。

この時のポイントとして、創部を引き離す方向に力を入れていくのではなく、創部に向かって皮膚を近づけるようにして、”シワ”を作るように意識してアプローチを行っていきます。

 

創部を引き離すように刺激することで創部の治癒の遷延化を招いたり、本来小さな創で終わるはずが、創部の正常な治癒が進まず瘢痕化が大きくなってしまう可能性が出てきます。

 

また、創部に向かって”シワ”を作るように刺激をすることで皮膚と皮下組織間の癒着の改善にも一役を買うことになり、より膝の屈曲ROM拡大に影響してくることになります。

 

 

3.まとめ

今回は、TKA術後の創部に対してどのように理学療法アプローチを行っていけばいいか?についてまとめていきました。

創部関連になると、「手術の影響だろう」と無意識的に判断の可否をブロックしてしまう傾向にあるように思います。(勝手な偏見もあるか…)

 

私自身上記のように、

”手術の問題はDrの管轄で、それ以降はリハビリの管轄であるから、特別にDrの指示があれば術中の影響を考慮する”

とある意味割り切っている部分はありました。

しかし、それはあくまで浅はかな私自身の狭い思考であり、

実際は「そんなわけあるかい!!!!!」とぶん殴られてもおかしくない事でありました。

 

TKA術後の膝屈曲ROMの改善を考える上では、どう考えても創部の問題は考える必要があり、創部に対してのアプローチ(アプローチ以外にも保護の観点も必要)を進めていく必要があることがはっきりしてきました。

 

と、いうことでTKA術後の創部の状態をしっかり見ていこう!ということを伝えたかった記事でした~。

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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