TKA術後の疼痛の原因を理解する~Chimentiらの疼痛発生・増悪のメカニズムについて~

TKA術後の理学療法について
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どうも。

管理人のKnee-studyです。

 

今回は、TKA術後の疼痛についてです。

術後の疼痛は、どうあってもリハビリの阻害因子になりますよね。

 

痛み自体は、身体に対する危険信号であるため、「手術=侵襲」という大きな刺激が入ってしまった以上、しょうがない反応とも捉えられますね。

 

ただ、この疼痛があるからといって、手術後に何もしないわけにはいきません。

●安静が長期化することによる廃用のリスク

 

●安静にするからといって痛みが寛解するのか?

 

●痛みがない範囲で動けるという認識が得られないリスク(本当は動けるのに恐怖から消極的になっている)

 

上記のように、術後リハビリを怠ることで生じるリスクが今後の人生を左右することもあるわけです。

 

痛みがある中でも出来る動作や生活手段があることを理解してもらい促していくことが術後のリスク管理を行うことと同様に、急性期リハビリに必要なタスクであると思っております。

 

今回は、TKA術後に限らずではありますが、「術後の痛みが何からくるものなのか?」を理解するための内容にしていきたいと思います。

 

 

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1.Chimentiらが提唱した「疼痛発生・増悪のメカニズム」

疼痛の軽減は、急性期または慢性期の疼痛状態を呈する患者のための理学療法の主な目標となります。

Chimentiらの報告では、疼痛に対するメカニズムとそれに対するアプローチについて記されており、疼痛メカニズムを5つのカテゴリーに分類しています。

引用文献:Chimenti ら,A Mechanism-Based Approach to Physical Therapist Management of Pain Phys Ther. 2018 May 1;98(5):302-314

 

以下に5つのカテゴリーを記します。

①侵害受容性の疼痛(nociceptive pain)

↳手術などの侵襲が主因とした疼痛

 

②中枢性感作(痛覚変調性疼痛) (nociplastic pain)

↳中枢性感作などがこれ(繰り返しの疼痛刺激により主な誘因がなくても疼痛が誘発される疼痛)

↳末梢侵害受容器の活性化を引き起こす実質的な組織損傷、または損傷の可能性のある事象の明確な証拠がないにもかかわらず、あるいは痛みを引き起こす体性感覚系の病変や傷害の証拠がないにもかかわらず、侵害受容の変調によって引き起こされる痛み

 

③神経障害性疼痛(neuropathic pain)

↳末梢神経性の疼痛などがこれ(膝であれば伏在神経由来の疼痛など)

 

④運動器由来の疼痛:防御性収縮による筋スパズムや筋力低下に起因する疼痛(motor)

↳軟部組織性の疼痛など機能障害に関連する疼痛(術後の代償的な動作パターンから生じる疼痛もこれ)

 

⑤心理社会性疼痛(psychological)

↳情動面の問題(TKA術後では破局的思考の問題などが問題視されている)

 

Chimentiらが提唱した「疼痛発生・増悪のメカニズム」により、”疼痛の出所

”はなんとなく理解できると思います。

 

問題は、これらの疼痛がどのタイミングで出ているのか?ですよね?

 

結局のところ、”何に対してアプローチしているのか?”がはっきりしていないと効果判定も曖昧になってしまうことになりますよね…。

 

2.まとめ

今回は、TKAに限らずですが、”術後の痛みの出所”について分類されたものを紹介していきました。

 

臨床場面では、「TKA術後の疼痛が機能改善および活動性に影響しています」とか、「TKA術後痛の遷延化が問題視されています」など”痛み”にフォーカスされた研究報告や論文を多く見かけます。

 

確かにTKA術後は”疼痛”がその後の患者の回復や生活に大きく影響します。

そのため、術後リハビリを担当するセラピストにとって”疼痛”に対する対処が重要なのは言わずもがななわけですよね。

 

ただし痛みが大事とっても、それが何の痛みなのか?をわかっていないと何にアプローチしたらいいのか?という壁にぶち当たることになります。

 

 

本来であれば、

 

痛みの原因=治療プランを立てる

 

となるわけですが、痛みの原因が分かっていないと、

 

痛みの原因が不明…=何に・どこにアプローチする?

 

このように明確なアプローチ方法が挙がってきません。

 

いい方が悪いですが、結局の所、プロトコール通りに…、みんながやっている通りに…といった結果が良かろうが悪かろうがのアプローチに行きついてしまうわけですね。

 

 

このような、あまり良いとは言えない治療ループから脱するには、「この時期の痛みの原因はこの要素が大きい」などと大まかでもいいので”痛みの出所”を理解し、そこに対する適切なアプローチを行っていく必要があるということになります。

 

Q:手術直後に、過度なROM運動や筋力トレーニングを行いますか?

A:いいえ。アイシングから開始します。

 

このように、ある程度当たり前の状況下では答えにブレはないと思います。

しかし、回復期や慢性期の時期ではどうでしょうか?

患者さんの回復状況や訴える症状、ADLのレベルなどによって”今の疼痛の原因の解”はいくつも出てくるように思います。

この時に、適切に判断し治療できるようになることが望ましいですね。

次回は、こういった場面で今回紹介した疼痛の5つのカテゴリーのどれが関与しているのか?について考えていきたいと思います。

 

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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