TKA術後に膝関節屈曲制限の原因となる膝蓋上嚢の癒着が生じるリスクについて

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TKA術後の理学療法
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どうも。

管理人のKnee-studyです。

 

今回は、TKA術後の膝関節屈曲制限の原因となる「膝蓋上嚢の癒着」について記事にしていきます。

膝OAの方や、TKA術後だけでなくOpe後の膝は様々な原因から膝の可動域制限をきたします。

 

中でも、膝蓋上嚢は膝関節の屈曲制限に大きな影響を及ぼす組織として知られています。

 

今回はこの膝蓋上嚢と膝関節の屈曲制限の関係性について考えていきたいと思います。

 

 

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1.膝蓋上嚢とは?膝蓋上嚢と膝の可動域制限の関係性について

まずは膝蓋上嚢とはなんぞや?というところから行きましょう。

 

膝蓋上嚢とは?

膝蓋上嚢は大腿骨顆部と膝蓋骨をつなぐ滑液包であり、膝蓋大腿関節の活動性の効率化に寄与しているといわれています。

 

膝蓋上嚢はどこにある?

この膝蓋上嚢ですが、大腿四頭筋の一部である中間広筋の停止部になっており、中間広筋の動きに依存します。

 

膝蓋上嚢が癒着するとどうなる?

膝蓋上嚢が癒着すると、膝の屈曲に伴う膝蓋骨(パテラ)の長軸移動が著名に制限され、日常生活に支障をきたすほどの屈曲障害を引き起こします。

 

※いったん形成された膝蓋上嚢の癒着を運動療法により剥離することは非常に難しく、関節受動術が行われることも多いようです。

 

膝関節屈曲に伴う膝蓋上嚢の変化

膝蓋上嚢は膝関節屈曲における膝蓋骨(パテラ)の長軸移動を円滑化します。

膝の屈伸運動で膝蓋骨(パテラ)は上下方に動きます。

この膝蓋骨(パテラ)の動きをスムーズにするのが膝蓋上嚢の機能の一つなんですね。

 

膝関節伸展位では膝蓋上嚢は近位へ引き込まれ2重膜構造を呈しますが、

膝の屈曲に伴い膝蓋骨(パテラ)の下方への滑りを許しつつ徐々に単膜構造へと変化します。

 

逆に伸展では膝関節筋により牽引され、再び2重膜構造へと戻るといった変化を生じます。

 

図:膝の屈曲に伴う膝蓋上嚢の変化

 

膝蓋上嚢の癒着を起こさないための予防法は?

最もよい治療法は膝蓋上の癒着を予防することであり、そのためには長期にわたり関節内に貯留液を溜めないこと、早期の大腿四頭筋訓練、特に中間広筋の収縮を誘発することが大切であるといわれています。

 

再度言いますが、最も大事なことは、

「膝蓋上嚢の癒着を作らない事」

になります。

 

そのうえで、

①関節内に貯留液を溜めない事(関節内の炎症症状の遷延はNG!)

②早期から大腿四頭筋の筋力訓練(中間広筋の収縮を促し膝蓋上嚢の癒着を防止)

この2点を意識する必要があるといえます。

 

具体的な例でいえば、

膝関節術後早期に実施されるパテラセッティングやSLR運動は、膝関節筋を介した膝蓋上嚢への牽引刺激を加えることになり、拘縮予防の観点からも非常に重要となります。

 

図:膝蓋上嚢の癒着による膝の屈曲制限

 

 

2.TKA術後の膝蓋上嚢の状態は?

上記の内容で膝蓋上嚢は膝の可動域制限に大きく関わっているということがわかったと思います。

ただし、通常の膝の場合、膝蓋上嚢の癒着が起こることは、そうそうない事だと思います。

 

膝蓋上嚢に存在する滑液の流れが悪くなるほど、膝を動かさないとか、循環不全が生じるだけの腫脹を引き起こさなければ、この膝蓋上嚢が原因で膝が動かなくなることは有り得ないということです。

 

では、TKA術後の場合はどうでしょうか?

実際の術後の状態をイメージしながらTKA術後と膝蓋上嚢による問題を照らし合わせてみましょう。

 

TKA術後の数日間は膝が痛くてあまり動かせない・・・

TKA術後は多くの場合、強い疼痛を認めます。

最近ではカクテル療法などにより術後痛は軽減されているとはいっても、やはり痛みを訴える方は非常に多いです。

 

本来、膝は可動性に富んだ関節であり、日常生活での貢献度は非常に大きいです。

つまり、動こうとするならば必ず膝を動かさなければならないということです。

 

ということは、

術後痛で膝が痛い+術後の離床によりさらに膝が痛くなる

といったダブルパンチをTKA術後は味わうことになるわけです。

 

こんな状態にあるわけなので、膝の周囲は過緊張になりがちです。

過緊張になれば膝の可動域も著明に制限されます。

 

TKA術後は急性期症状を認め、膝が結構腫れる・・・(腫脹や浮腫↑↑)

また、TKA術後は侵襲が大きいことから思っているよりも炎症症状を認めます。

腫脹や熱感、浮腫などの炎症症状が満載になります。

 

腫れが強いケースほど、確かに膝蓋骨(パテラ)の上方部分は固くなっています。

ちょうど膝蓋上嚢の当たりですね。

 

これは体験談ですが、TKA術後の患者さんで術翌日から介入した際に、片側だけ異常な膝屈曲制限を認めたケースに遭遇したときのことです。

圧痛部分は膝蓋上嚢付近であり、触診でも明らかに膝蓋上嚢部分が固くなっていました。

そのため、アイシングをしながら膝蓋上嚢に対してマッサージないしリラクセーションを行ったところ可動域が大幅に改善されました。

そのままセルフケアで膝蓋上嚢に対するケアを指導していきました。

痛みに対しても敏感な方であったため、中々痛みが引かないかなぁと思っていたのですが、膝蓋上嚢へのアプローチ以降、比較的スムーズに機能改善が図れました。

 

と、こういった経験もあり、TKA術後の炎症がある際の膝蓋上嚢の状態は必ずチェックするようにしています。

 

TKA術後は膝蓋上嚢の癒着を起こすための条件が整っているから注意が必要!

●術後痛による膝の過剰な安静

●術後の炎症症状と管理不足による炎症症状の遷延

このように、TKA術後は膝蓋上嚢の癒着が作られやすい環境にあるということがわかります。

 

術後早期から大腿四頭筋のトレーニングを行っていくことは半ば当たり前のように実行していきますが、痛みが強いとやや消極的になりやすいと思います。

かといって、痛みを押し切って無理矢理トレーニングさせれば、炎症を強めるor慢性化させてしまう可能性もあります。

 

このあたりはセラピストの考え方でかなり相違があると思いますが、

●炎症の慢性化

●痛みの慢性化(慢性疼痛への移行)

●膝の可動域制限の残存

などの問題を総合的に考えてベストな介入を検討していくことが重要になるのではないでしょうか。

 

頭でっかちになりすぎて、過用・誤用・廃用とならないように、患者さんの状態を常に把握する必要があります。

そのためには、「膝蓋上嚢の癒着」という問題も当然理解して、その可能性も考えていく必要があります。

 

3.まとめ

今回は、膝蓋上嚢の癒着について考えていきました。

TKA術後は、痛みや炎症の影響から膝蓋上嚢の癒着を引き起こしやすくなります。

膝蓋上嚢の癒着が完成されてしまうと、膝の屈曲は大きく制限され、最悪の場合、拘縮となってしまいます。

そうならないためにも、早期からの炎症症状の改善と膝の可動域訓練及び筋力訓練が勧められます。

 

膝蓋上嚢の癒着というポイントも理解しつつ、術後のリハビリに介入し、膝蓋上嚢が問題で生じる膝の屈曲制限を極力減らしていきたいものです。

 

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

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