人工膝関節全置換術(TKA術後)の適応と”感染リスク”など注意すべき点について

TKAについて

どうも。

管理人のKnee-syudyです。

今回は”TKAの適応について”学んでいきます。

 

TKAの適応は年々広がっており、中高年層から高齢層まで幅広く行われている手術になります。

また高度の肥満に対しても適応があり、リウマチなどの関節の炎症性疾患に対しても良好な治療成績が得られています。

 

そんなTKAですが、適応が広い反面、そこに潜むリスクを十分に把握する必要があります。

特にTKA術後のリハビリを行っていく理学療法士としては「リスクの把握」はしっかり行っておきたいところですね。

 

ということで、今回はTKAの適応とリスクについてまとめていきます。

 

 

1.人工膝関節置換術(TKA術後)の適応とリスクについて

人工膝関節置換術(TKA術後)は、変形などの膝関節疾患に対し、

除痛(痛みの緩和)・機能改善(膝の機能改善)・ADL改善(歩行能力の改善)

などを目的として行われます。

 

人工膝関節のデザインや手術手技の改良・進歩により、TKAは安定して良好な臨床成績、長期耐久性が期待できるようになり、TKAの適応は広がってきています。

 

 

それでは、以下にTKAの適応とリスクについて紹介していきます。

 

【TKAを受ける”適応年齢”】

TKAに対する適応年齢は中高年層から高齢層まで幅広いです。

これまではインプラントの耐用年数(15~20年)を考慮して、60歳代後半から70歳代から手術を行うことが主流でしたが、インプラントの改良やTKA以外の機種の治療成績の向上(UKAやPFA)により40歳代や50歳代でTKAを受ける方も増えてきています。

 

また、高齢者の膝OA患者に対するTKAの成績に関しても良好であり、60歳以上はTKAの良い適応になります。

上述した通り、近年は60歳未満の中高年層(比較的若年者)にも積極的にTKAが行われるようになっています。

 

若年者の活動性は高齢者より高いため、通常の人工膝関節の耐用年数より短い期間での弛みや摩耗のリスクがあります。

 

ここに関しては、人工関節のインサート部のポリエチレンの”摩耗”と”破損”を通常よりも抑制する技術の進歩により改善が期待されています

RA患者の場合は活動性が低いこともあり、若年者に対するTKAの成績は良好であるといわれています。

 

 

 

補足ですが、高齢だからと言ってTKAが適応にならないという事はありません。

 

年齢というより、全身状態によって適応を判断すべきであり、80歳代後半であっても、心機能や腎機能が保たれていれば十分に適応となり、逆に60歳代であっても併存疾患による全身状態不良があればTKAが行えない場合もあります。

 

 

 

【肥満の有無について】

TKAを受ける多くの患者が肥満です。

体重過多が膝関節にかかる負担を大きくすることが背景として考えられます。

 

そのため、変形性膝関節症に対する「減量を勧めるエビデンス」は高いです。

しかし減量は治療として重要であるものの、膝関節痛によりADLが低下しているため、現実的に減量を達成することが困難となりがちになります。

 

そんな肥満患者に対してもTKAは行われ、治療成績も比較的良好な結果が得られています。

ただし、肥満であることが適応から外れることはないものの、”合併症”には注意が必要になります。

 

Body mass index(BMI)が30㎏/m2以上の肥満患者と30㎏/m2未満の非肥満患者を比較したメタアナリシスでは、肥満患者における感染のリスクが1.9倍、再置換術のリスクは1.3倍であったと報告されています。

 

当院でもBMI30以上の高度の肥満患者さんへTKAを行うことは比較的多く、これまでの経験で100㎏越えの方のTKAを担当したこともあります。

 

感染は認められませんでしたが、術後のリハビリを行う上で体重過多がADLを阻害するケースが多く難渋したことを覚えています。

 

 

【糖尿病による影響について】

TKAを受ける患者さんを担当する際、カルテをチェックすると「糖尿病を既往に持っている」ことは非常に多いです。

糖尿病を既往に持つ場合は易感染性であり、創傷治癒に伴う合併症、深部感染、周術期の尿路・呼吸器などの感染症のリスクが挙げられます。

 

糖尿病を既往に持つ場合、術前に十分なコントロールを行なっていきます。

場合によっては術前に血糖コントロール目的にリハビリが開始されることもあります。

 

そして術後も厳密な血糖コントロールを行い、経過を観察していきます。

他にも、術後に関しては創治癒の遷延化が生じることもあり、創部の離開には注意しておきたいところですね。

 

【意外なことに”口腔内感染症”もリスクの一つになる】

TKA術後の遅発性感染は1%程度に起こるとされ、その原因菌は術中に進入していたものと、術後他の部位から血行性に感染するものがあります。

 

術後早期の感染は、ほとんどの場合、術中感染と考えられ、清潔操作の徹底、頻回の洗浄、全身および骨セメント内抗菌剤の適正使用により発生率を低下させることが可能であるとされています。

 

 

遅発性の感染については、潜在化していた術中感染が顕在化する場合と、体内のほかの感染部位からの血行性感染が考えられています。

術後1年以上経過してからの人工膝関節感染の原因は、皮膚や軟部組織からの感染が46%、歯周病などの口腔内感染症が15%、尿路系感染症が13%であったと報告され、口腔内感染症は比較的多くを占めています。

 

また、TKA前の患者39%に口腔内感染症が存在したという報告もあります。

 

術後2年以内の菌血症は、TKA術後感染のリスクが高いため、術後2年以内の抜歯などの歯科治療時には抗菌薬の投与が推奨されています。

 

口腔内感染が原因のTKA術後の感染は思っているよりも多く、”情報”として覚えておかなければ原因がわからないままになってしまいますね。

 

 

2.まとめ

今回は、TKAの適応と注意すべき点についてまとめていきました。

TKA術後のリハビリを行っていく際は、注意点など理解しているようで”意外と知らなかった情報”というものは思っているよりも多くあるものです。

少しでも患者さんの不利益になるイベントを減らし良い方向に進むようリハビリを行っていけると幸いですよね。

 

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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