どうも。
Knee-studyです。
久しぶりの投稿になりますが、これからボチボチ更新していこうと思います。
今回は、TKA術後に必要とされる膝関節の屈曲角度は一体どれくらい必要なのか?についてです。
TKA術後のリハビリを担当する理学療法士や作業療法士の方は少なくとも一度は「人工関節を入れたらどれくらい曲がるようになるのかな?」と考えたことはないでしょうか?
はたまた、
人工関節の手術を受ける予定の方に至っては、「手術したほうがいいのは分かったけど、手術した後はちゃんと日常生活を送れるようになるのか?何か支障が起きないか?」と思ってしまうものと思われます。
多くの文献では膝関節120°屈曲が可能かどうかが一つの基準というかボーダーラインとなっているようです。
実際に当院でもTKA術後の膝関節の屈曲角度はおおむね120°獲得できています。
リハビリの中でも120°獲得を一つの目標にROM訓練を進めていきます。
明確なエビデンスはないんですが、膝関節屈曲120°獲得できていないと、日常生活で支障をきたす確率が高くなることが確かです。
今回は、その膝関節の屈曲角度に関して、実際の「日常生活に必要な膝関節の関節可動域」と照らし合わせて考えていきたいと思います。
1.TKA術後に膝関節屈曲120°獲得が一つの目安になる理由について
文献を読んでいくと、膝関節屈曲120°獲得できているか否かが経過良好群と不良群とで分けられている例が多いです。
参考程度にいくつかの文献を抜粋した内容をご紹介します。
中村 睦美, 山元 佐和子, 水上 昌文 人工膝関節置換術後患者の日常生活活動能力の経時的変化
理学療法科学 2011 年 26 巻 2 号 p. 221-224 より引用
身体機能回復の推移 理学療法科学 34(6):771–775, 2019
引用元:Rowe PJ, Myles CM, Nutton R: The effect of total knee arthroplasty on joint movement during functional activities and joint range of motion with particular regard to higher flexion users. J Orthop Surg (Hong Kong), 2005, 13: 131-138
引用文献:戸田 秀彦 戸田 香 木山 喬博 三宅 洋之 人工膝関節置換術後の屈曲可動域予測
理学療法科学 26(3):411–415,2011
引用元:齋藤 宏,長崎 浩,中村隆一(編):臨床運動学,医歯薬出版,東京,2002,pp85-87.
このように、日常生活で支障なく生活するには膝関節の屈曲角度はおおむね120°が必要になるというわけですね。
2.日常生活を送る上で必要な膝関節の屈曲角度について
ここまでの内容で、
日常生活を送る上で膝関節屈曲120°獲得はTKA術後でも必要なものであることがわかったと思います。
この項では、各種ADL動作で膝関節がどれほど動いているかをまとめていきます。
日常生活の中で行う動作は一体どれくらい膝関節の屈曲を必要としているのか疑問に思いませんか?
確かに、膝関節屈曲120°ってしつこく言われるけど、一体どれくらい膝が曲がっていれば120°なのかよくわからないわ・・・
人工膝関節全置換術[TKA]のすべて改訂第2版 より改変し引用
上図が、日常生活で行う動作の中でどれくらい膝が曲がっているかをまとめたものになります。
和式生活になると、膝関節屈曲120°以上の可動域が必要になりますが、洋式での生活であれば、階段昇降が主な負担となりそうですね。
近年では正座も可能なTKAが存在しており、大きな可動域を獲得できるようになってきているようです。
今後、人工関節の機種が改良されてくることでTKA術後も和式生活が当たり前となってくるかもしれませんね。
3.まとめ
今回は、TKA術後に必要な膝関節の屈曲角度はどれくらい必要か?というテーマで記事を作っていきました。
明確な基準はないものの、
洋式生活を送る上では膝関節屈曲120°を獲得できていれば
概ね日常生活に支障をきたすことはないという結果になりました。
当然、しゃがみ込みや正座など和式の生活となると、また必要な膝関節屈曲角度は増えてきますが、現代の家屋環境を考慮すれば膝関節屈曲120°で支障に感じる部分はごくわずかであると思います。
※高齢者の場合、和式での生活が主流になっていることもありますが、その場合は家屋改修などを検討していきます。
ということで、TKA術後のリハビリを担当する理学療法士の方は、膝関節屈曲120°獲得を一つの目標に介入していくことが望ましいと思われます。
人工膝関節置換術(TKA)の手術を受けることを考えている方は、手術後の生活様式を考慮したうえで検討した頂ければと思います。
それでは本日はこの辺で。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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