ベーカー嚢腫(嚢胞)について

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変形性膝関節症(膝OA)
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どうも。

管理人のKnee-syudyです。

 

前回記事にて、膝裏の痛みの原因について関節水腫の問題を挙げていきました。

膝屈曲時の膝裏の痛み(膝窩部痛)の原因とそのチェック方法について
今回は、膝窩部痛の原因について考えていきました。一見、膝窩筋などの筋組織の問題を一番に考えることもあると思いますが、今回紹介したような「関節水腫」の問題も比較的多く認められます。変形性膝関節症では、関節の問題から関節水腫が多くなり、今回紹介したような関節水腫の問題により膝窩部(膝裏)に痛みを生じることが多くなることが予想されます。またTKA術後でも血種などの問題により関節内の液は多くなります。そのため、関節内圧が上昇し膝窩部の痛みに繋がることが十分に考えられます。

 

その関節水腫ですが、膝窩部の滑液包に溜まって炎症を起こすと膨らみます。

これをベーカー嚢腫(嚢胞)と呼びます。

図:ベーカー嚢胞

 

これまでの臨床でベーカー嚢腫(嚢胞)は何例か拝見する機会がありました。

最初はゴルフボールのようなふくらみに対し驚き担当のDrに相談したことを覚えています。

その担当Drからは「リハビリで特に気にすることはないよ」と指示が出ており、患者さん自身にも痛みの訴えがなかったため経過観察としていました。

結局のところ、そのベーカー嚢腫(嚢胞)はそのままでリハビリ終了となりました。

 

と、このようにこれまではベーカー嚢胞があってもそこまで気にする必要はないのかな…?と安易な考えがあったのも事実です。

 

今回はそういった背景を踏まえ、このベーカー嚢胞について、用語の理解を含めて学習の意味を込めてまとめていきたいと思います。

 

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1.ベーカー嚢腫(嚢胞)とは?

ベーカー嚢胞=ベーカー嚢腫とも呼ばれます。

膝窩囊腫としては、1840年Adamsが初めて報告、その後1877年にWilliam Morrant Bakerが疾患群として報告してからベーカー囊腫(嚢胞)として広く知られるようになっています。

 

ベーカー嚢腫とは膝の裏にある関節液(滑液)という液体を含んだ滑液包が炎症を起こし膨らむことです。

ベーカー嚢胞は、膝関節から腓腹筋内側頭と半膜様筋腱との間に発生する滑液が背側に貯留し生じたものと報告されています。(滑液包の腫脹)

 

 

2.ベーカー嚢腫(嚢胞)が出来る原因

ベーカー嚢胞には一次性と二次性があり、一次性は外傷や炎症、二次性は滑液包の腫脹に起因する関節疾患が原因となる

引用元:Fritschy D, Fasel J, Imbert JC, et al: The popliteal cyst. Knee Surg Sports Traumatol Arhrosc 14: 623–628, 2006.

このようにベーカー嚢腫(嚢胞)の原因は報告されています。

 

 

ベーカー嚢腫(嚢胞)形成のイメージは以下の通りです。

 

●膝の裏側には小さい滑液包が複数あり、過剰な摩擦や圧迫が加わると炎症が起こり痛みを生じる

●関節液の分泌量が多くなると、滑液包に過剰な関節液が溜まる

●ベーカー嚢腫(嚢胞)が形成される

つまりこの関節液が過剰に滑液包に溜まることでベーカー嚢腫(嚢胞)が形成されるということですね。

関節液がたまる原因には、関節リウマチ、痛風、加齢による変形性膝関節症、ランニングなどによる膝の使い過ぎや、体重増加などがあります。

変形性膝関節症と関連して生じる問題として前回の記事では膝裏の滑液包に水腫が溜まって膝窩部に痛みが生じると紹介しましたね。

ベーカー嚢腫(嚢胞)でも同様に膝窩部に痛みや違和感を生じることがあります。

 

3.ベーカー嚢腫(嚢胞)の症状

このベーカー嚢腫(嚢胞)は、慢性の炎症性・変形性膝関節疾患の多くに合併されると報告されています。

症状は無症状のものが多いですが、増大すると圧迫感や疼痛、膝関節可動域制限などを認めるようになります。

 

膝裏にゴルフボール状の大きさの塊が出来ることによって、膝の裏側に痛みを感じたり、痛みはなくても膝裏の違和感や不快感が生じたり、膝を曲げる時に圧迫感を感じることがあるわけですね。

また、ベーカー嚢腫(嚢胞)が膝窩部を通る坐骨神経を圧迫することもあり、その場合は膝を曲げた時に膝から下に痺れを感じることもあります。

 

また、破裂した場合は、筋肉間などに内容物が流入し、血栓性静脈炎に類似した症状を呈し、この病態は偽性血栓性静脈炎と称されベーカー嚢腫(嚢胞)はその原因のひとつとして重要であるとされています。

 

4.ベーカー嚢腫(嚢胞)に対する治療

ベーカー嚢腫(嚢胞)ですが、基本的に症状が出ていなければ治療の必要はないとされています。

痛みや腫れなどが強くなり日常生活に支障をきたすようなら、関節液を抜き、経過観察を行っていきます。
それ以外に、ベーカー嚢胞の形成を予防するためにステロイド薬を患部に注射することもあります。

 

基本的には保存的治療が選択されます。

(血管や神経の圧迫がなければ最低6か月は保存的治療をするべきと記載があります)

参考文献:Todd J Frush , Frank R Noyes Baker’s Cyst: Diagnostic and Surgical Considerations Sports Health. 2015 Jul;7(4):359-65)

 

また背景の膝疾患の治療(変形性膝関節症や関節リウマチの治療のこと)が重要とされています。

どういうことかというと、ベーカー嚢腫(嚢胞)自体を手術で治療したとしても、背景の膝疾患の治療がないと高率にベーカー嚢胞が再発してしまうためとされています。

 

日常生活では膝に負担の掛かりにくい歩き方や姿勢を保つことが大切です。

膝に対しストレスがかかりにくい動作の指導を理学療法士から受けたりすることで症状の増悪を防ぎます。

 

5.まとめ

今回はベーカー嚢腫(嚢胞)についてまとめていきました。

直接的にリハビリに関連する内容ではなく、どうこうできる問題ではないと思われます。

ただ、このベーカー嚢胞は変形性膝関節症患者さんにも多く認める所見である事とTKA術後も同様にこのベーカー嚢胞は残存するということを理解しておかなくちゃいけないと思います。

 

何が言いたいかというと、ベーカー嚢胞によって膝裏の痛みが生じている・屈曲可動域制限が生じているなどの問題があるとして、そういったケースに対しTKAの手術を施行しても症状が寛解しない可能性があるということです。

TKAの手術では膝の後方組織に対してはタッチしません。

となると、膝窩部に生じるベーカー嚢胞はそのまま残存するということになります。

TKA術後に膝のROM制限や膝窩部の痛みが生じている際はこのベーカー嚢胞の存在もチェックしてみる必要はあるのではないかと思います。

 

それを踏まえて、術後の予後予測を行っていけたらより正確な見通しが立つのではないでしょうか?

 

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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