膝屈曲時の膝裏の痛み(膝窩部痛)の原因とそのチェック方法について

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膝関節について
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どうも。

管理人のKnee-syudyです。

 

今回は膝関節の運動時に生じる痛みについてです。

変形性膝関節症やTKA術後の方に対し、膝の屈曲ROM訓練を行うと膝裏に痛みを生じることがあります。

これは思っているよりも訴えとしては多く挙がってくると思います。

通常であれば膝を屈曲しているわけなので、膝裏は短縮方向に動くため痛みなどは出にくい印象を受けますよね?

 

それでも患者さんは「膝を曲げられるとなんか膝裏が突っ張るんですよ」とか「膝を曲げたら膝裏が痛い」などと訴えられます。

 

そんな時、何が原因と考えるでしょうか?

今回はそういった膝裏の痛みについて考えていきたいと思います。

 

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1.変形性膝関節症の場合、関節水腫が影響して膝裏の痛みを生じることがある

変形性膝関節症やTKA術後の膝関節は多くの場合、膝周りが腫れぼったい感じになっています。

これは関節内に水腫が溜まっていることを示しており、健常者の膝と比べて、膝のお皿(パテラ)がどこにあるのかがわかりにくい状態になっています。

 

TKA術後なんかは術後の出血もあり余計に膝周囲が大きくなります。

 

このように、変形性膝関節症やTKA術後の患者で関節水腫が生じている場合、膝屈曲ROM運動時に膝窩部の痛みを訴えることが珍しくありません。

 

先行研究によれば、画像上で変形性膝関節症様の変性が認められる場合は90%の患者に関節水腫が認められ、その55%は中等度から重度の関節水腫であったと報告されています。

 

また、中等度から重度の関節水腫はX線上での変性の程度に関わらず、疼痛の発生に関連する事が示されています。

 

通常、膝関節を屈曲することで膝関節前方の膝蓋上嚢が大腿四頭筋に圧迫され、滑液は後方の滑液包に移動します。

また、関節に炎症が生じ滑液が多量になることでも、滑液は後方の関節包に貯留します。

膝屈曲時の関節内の水分移動は膝前方組織の存在により膝裏に移行するわけですね。

ちなみに今回の話の内容とは少しずれるため割愛しますが、膝蓋上嚢の存在も膝屈曲ROM制限に関わってきます。

膝蓋上嚢に関する記事については気になる方はこちらから。

TKA術後に膝関節屈曲制限の原因となる膝蓋上嚢の癒着が生じるリスクについて
今回は、TKA術後の膝関節屈曲制限の原因となる「膝蓋上嚢の癒着」について記事にしていきます。膝OAの方や、TKA術後だけでなくOpe後の膝は様々な原因から膝の可動域制限をきたします。中でも、膝蓋上嚢は膝関節の屈曲制限に大きな影響を及ぼす組織として知られています。今回はこの膝蓋上嚢と膝関節屈曲制限の関係性について考えていきたいと思います。

 

このように関節水腫の影響により、膝関節の後方の関節包にストレスがかかる上、さらに膝屈曲を屈曲することでさらに関節内の滑液が後方に移動します。

 

このことをイメージすることで、関節水腫と膝裏の痛みの関連性がなんとなくあることがわかってきませんか?

 

具体的には、

①膝関節内の滑液の過剰な貯留により関節内圧が上昇し、膝窩筋や膝窩部の関節包の過伸長やインピンジメントが生じる

⇒⇒引っかかり感やつまり感ないし膝窩部の鋭い痛みに繋がってくる可能性がある

②膝関節内の滑液が増量することで関節の内圧が亢進することで膝屈曲制限が生じる

⇒⇒膝窩部のハリ感やツッパリ感の訴えに繋がる可能性がある

 

このような問題に繋がってきます。

そのため、関節水腫は、膝窩部の疼痛やそれ自体がROM制限になることから、注意しておかなければなりません。

 

2.膝関節の関節水腫をチェックする方法

理学療法の場面においては関節水腫を評価する方法として、ワイプテストや膝蓋跳動テストが用いられています。

 

①ワイプテスト

別名、”ブラッシュテスト”や”ストロークテスト”など様々な呼び名があるようです。

このテストは、膝蓋跳動テストよりもやや難しいです。

 

方法を以下に記します。

●患者を仰臥位にして筋肉を弛緩させ,膝を完全に伸展して下肢をわずかに外旋させる

●膝蓋骨の内側を下方から上方に向かってこすり上げ、この領域から貯留液を全て押し出す

※イメージとして、この部分にある関節液を上まで寄せてくる感じ

●その後、片手を膝蓋上嚢部(パテラの上方)に置き、膝の外側面を摩るもしくは強めに擦る

※膝の外側を強めにこすることで、先程内側で寄せた関節液を、膝蓋骨内側下方に一気に押し出すことが出来る

●液貯留がある場合、内側で視認可能な液の波動や膨隆が生じることがある(外側を刺激した際にプクッと膝内側部が浮き上がるなど…)

●上記のようにプクッと膝内側が浮き上がると陽性と判断する

※健側との比較が有用である

図:ワイプテストについて

 

②膝蓋跳動テスト

膝蓋骨跳動(patellar ballottement)

●膝関節の下にタオルや枕などを挿入し、膝関節を軽度屈曲位とする

●一方の手でパテラ上部を圧迫し、膝蓋上嚢部分の関節液を下方に移動させる

●パテラを圧迫(押す)し、跳ね返りの有無を評価する

●パテラが浮いている感覚(押したときにふわふわした感じ)があれば陽性と判断する

図:膝蓋跳動テストについて

 

2つのテストの信頼性について

2016年のシステマティックレビューでは、これらの評価方法の信頼性は総じて低いことが指摘されています。

そのため、関節水腫の評価ではこれらのテストと共に、触診や超音波などの機器を用いた評価も含めて多面的に進める必要があるとされています。

 

3.まとめ

今回は、膝窩部痛の原因について考えていきました。

一見、膝窩筋などの筋組織の問題を一番に考えることもあると思いますが、今回紹介したような「関節水腫」の問題も比較的多く認められます。

 

変形性膝関節症では、関節の問題から関節水腫が多くなり、今回紹介したような関節水腫の問題により膝窩部(膝裏)に痛みを生じることが多くなることが予想されます。

またTKA術後でも血種などの問題により関節内の液は多くなります。

そのため、関節内圧が上昇し膝窩部の痛みに繋がることが十分に考えられます。

 

今回は、そういった関節水腫の問題が膝窩部の痛みに繋がることと、それをどうやって評価していくかについてまとめています。

少しでも参考になればと思います。

 

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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