どうも。
管理人のKnee-studyです。
今回は、「膝関節に存在する脂肪組織」についてです。
以前の記事で、すでに一つの脂肪組織について説明しています。
それは膝蓋下脂肪体ですね。
膝蓋下脂肪体と膝の痛みについては多くの研究報告が挙がっており、すでに膝関節内の疼痛の代表格として位置づけられています。
このように脂肪体の問題は膝OAやTKA術後のリハビリ場面で問題に挙がることがあるわけです。
そういった背景のもと、今回は、膝関節に存在する代表的な3つの脂肪体をまとめてみたいと思います。
1.膝関節に存在する3つの脂肪体
膝関節の痛みを誘発する組織として、「滑膜」の存在がありますね。
”滑膜炎”としてよく関節鏡視下の手術で摘出されていると思います。
この滑膜に次いで痛みの主役となる「脂肪体」を紹介していきます。
脂肪体とは、脂肪の塊のことであり、”Fat pad”と呼ばれます。
“Fat”は「脂肪」のことを指しています。
このFat padは身体のあらゆる部位に存在しています。
理学療法的には足関節の背屈制限に関連する組織として、Kager’s fat padがありますね。
話が逸れたので戻します。
この脂肪体ですが、膝関節にはいくつも存在します。
代表的なところでは3つ挙げられ、主に膝関節の前面の存在していますが、他にも膝窩部にもあると言われています。
今回はこの代表的な3つの脂肪体について紹介していきたいと思います。
以下の3つが膝のROMや痛みと関連する脂肪体になります。
①膝蓋下脂肪体(Infrapatella Fat Pad:IFP)
②膝蓋骨上脂肪体(Suprapatella Fat Pad:SFP)
③大腿骨前脂肪体(Prefemoral Fat Pad:PFP)
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版より一部改変し引用
①膝蓋下脂肪体(Infrapatella Fat Pad:IFP)
IFPは、冒頭でも説明しましたが、有名な脂肪組織の一つですね。
膝関節の前面に存在し、膝蓋骨の下部に位置しています。
IFPは関節運動に伴い機能的に変形し、膝関節内の内圧調整に関与すると言われています。
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版より一部改変し引用
②膝蓋骨上脂肪体(Suprapatella Fat Pad:SFP)
SPFは膝蓋骨の上部に位置しており、
膝蓋骨上端と膝蓋上嚢前面と大腿四頭筋腱遠位後面で形成される三角形を埋めるようにして存在しています。
主な機能としては、膝関節屈曲時の大腿四頭筋腱の滑走や伸展機構の効率を高める事や大腿骨と膝蓋骨間での膝蓋上嚢のインピンジメントを予防する事が報告されています。
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版より一部改変し引用
③大腿骨前脂肪体(Prefemoral Fat Pad:PFP)
PFPは膝蓋上嚢と大腿骨の間に存在する脂肪組織になります。
※膝蓋上嚢の直下に存在
PFPの主な機能としては、膝関節屈伸運動における膝蓋上嚢の滑走性を維持するために必要な組織として挙げられています。
また、大腿四頭筋の収縮効率の補助、膝蓋大腿関節の内圧調整も挙げられており、膝関節の屈伸運動に重要な役割を担っている組織となります。
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版より一部改変し引用
2.まとめ
今回は、膝関節に存在する代表的な脂肪体3つをあげていきました。
脂肪体の問題は、膝OAに限らず、人工膝関節置換術後にも影響する可能性が高いです。
ただし、前回の記事でも紹介しましたが、膝蓋下脂肪体(IFP)だけは、手術に伴って切除しているかどうかの確認が必要になりますが…。
細かく言えば、TKA(全置換術)では侵襲の関係で膝蓋上嚢への影響が大きくなると言われており、膝蓋骨上脂肪体(SFP)や大腿骨前脂肪体(PFP)にも影響する可能性が高くなります。
対して、UKA(単顆置換術)では侵襲は少なく、膝蓋上嚢まで達しないと言われているため、影響がない可能性が考えられます。
実際にUKA術後に介入すると膝蓋上部の腫脹はしっかりと認めており、UKAでも膝蓋上部の脂肪体への影響はあるように感じています…。
侵襲は無くても、腫脹の問題から影響する可能性が考えられますね。
と、このように膝関節への影響が大きいとされている脂肪体ですので、今後もしっかり勉強して知識として頭に入れておきたいものですね。
それでは本日はこの辺で!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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