どうも、管理人のKnee-studyです。
今回は前回記事の続きで、膝関節に関連する脂肪体についてです。
前回は、膝関節に関連する脂肪体として、膝蓋下脂肪体(IFP)と膝蓋骨上脂肪体(SFP)と大腿骨前脂肪体(PFP)の3つを紹介しました。
今回はその中の大腿骨前脂肪体(PFP)についてまとめていきたいと思います。
1.大腿骨前脂肪体(Prefemoral Fat Pad;PFP)とは?
大腿骨前脂肪体(以下、PFP) は、大腿骨と膝蓋上嚢との間に存在する脂肪組織です。
膝蓋上嚢と言えば、以前の記事でも取り上げましたが、膝の屈曲ROMの制限因子として挙げられています。
この膝蓋上嚢の過ぐ近くに存在するPFPですから、お互いに影響し合うことは容易に想像できます。
現に、PFPは膝蓋上嚢の滑走性を維持するために重要な組織であると言われており、膝関節の正常な機能を獲得する上で、PFPの存在は把握しておきたい所ですね。
2.PFPの機能は?
PFPの機能は、①大腿四頭筋の収縮効率の補助、②膝関節屈伸運動時における膝蓋上嚢の滑走性維持などであり、膝関節の屈伸運動時に重要な役割を担っています。
①大腿四頭筋の収縮効率の補助
PFPは、大腿四頭筋が効率的に収縮するのをアシストしています。
TKA術後のPFPの柔軟性と膝ROM制限と膝伸展筋力の関係性を調べた研究では、膝伸展筋力との相関が認められたと報告しています。
つまり、PFPの柔軟性が低下していれば膝伸展筋力、大腿四頭筋の収縮力低下を招く可能性があるということになりますね。
TKAの場合は、腫脹の影響もあるはずなので、すべてがPFPの問題とは言えないと思いますが、膝蓋上嚢との関連性を考慮すれば、明らかに大腿四頭筋の収縮に関与していることが考えられますね。
②膝関節屈伸運動時における膝蓋上嚢の滑走性維持
ここは脂肪体の名前通りの働きなのかな?という感じですね。
PFPは、大腿骨前脂肪体という名前の通り、大腿骨の前面に存在する脂肪体になります。
大腿骨の前面には膝蓋上嚢が存在するわけであり、その間を埋めるようにPFPは位置しています。
そのため、膝関節の屈伸運動時には大腿骨と膝蓋上嚢の間の緩衝にPFPは働くことが予想できますね。
※上の写真のように、PFPは大腿骨と膝蓋上嚢(青矢印)の間に位置しています。
3.PFPに関する研究報告
ここで、PFPに関連する研究を紹介します。
「正常な膝では、大腿四頭筋の収縮により大腿前脂肪体(PFP)の形状が変化する」という前提のもと、膝OA患者ではPFPの形態的変化はどのように起こるのかをエコーにて研究しています。
結論として、膝OA患者では、健常者よりもPFPの動きが低下していたと報告しています。
また、膝OA患者のPFPの形態的変化の低下が、VASスコア(痛み)、膝伸展ROM、顆間距離(ICD)、KL分類と関連していると結論付けられています。
※ここでは「PFPの形態的変化の低下」は「PFPの柔軟性が低下」と捉えることが出来ると思います
つまり、膝の痛みや可動域、更には膝の変形度合い(重症度)とPFPの柔軟性低下は関連があるということですね。
このことから、膝OA患者に対してはPFPの評価も必要になるということになりますね。
4.まとめ
今回は、大腿骨前脂肪体(PFP)についてまとめていきました。
膝OAに限らず、TKA術後でも今回紹介したPFPの影響は認知していないだけで、思っているよりも関係している割合は比較的多いのではないかと思います。
TKA術後では関節まで進入する際に膝蓋上嚢まで侵襲が入るわけなので、同様にPFPにも影響が出ることは想像できますよね…。
術後炎症が遷延化すれば大腿四頭筋とPFP間の滑走性不全や癒着などのリスクが高まってくるため、より影響は大きくなることが予想されます。
ちなみに、PFPへのアプローチですが、大腿前面は大腿四頭筋という分厚い組織が存在するため、コンタクト出来るイメージは乏しくなると思います。
しかし逆を言えば、PFPと大腿四頭筋との関連性も強いわけですから、大腿四頭筋を介してアプローチしていくことでPFPにも変化を出すことが出来るわけです。
というわけで、最期は今回は大腿骨前脂肪体(PFP)についての紹介でした!
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それでは今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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