膝蓋骨低位の場合、膝関節屈曲可動域は減少する?

膝関節について
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どうも。管理人のKnee-studyです。

 

今回は、膝蓋骨(パテラ)の問題について考えていきます。

膝蓋骨は、大腿骨面上に存在し、大腿四頭筋の収縮効率を高めるのに重要な役割を果たします。

膝OA患者やTKA術後患者では、この膝蓋骨の高いのか、低いのかを評価していくことがあります。

 

このように、膝蓋骨の位置関係として、高すぎても低すぎても悪いわけですね。今回はそういった膝蓋骨高位と低位について考えていきます。

 

 

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1.膝蓋骨の上下のアライメントについて

膝蓋骨はそもそも自由度が非常に高く、膝という狭い空間の中で様ざまな動きをします。

膝蓋骨は上下に動くだけでなく、左右方向や傾斜など動き方は3Dです。

その中で、今回は上下のアライメントについて紹介します。

まずは膝蓋骨が高い場合と低い場合で理解していきましょう

●膝蓋骨高位(patella alta)

●膝蓋骨低位(patella baja)

ちなみに、膝蓋骨高位や低位をどのように判断するかですが、Insall-Salvati ratio(ISR)というX線上で評価する方法が一般的に広く使われているようです。

このInsall-Salvati ratio(ISR)については違う記事で紹介していきたいと思います。

 

膝蓋骨高位症(patella alta;パテラ アルタ)

膝蓋骨高位では、膝蓋骨が上方に位置する場合を言います。

Insall-Salvati ratio(ISR)の基準が1.2以上のものを膝蓋骨高位症を判断されています。

※ちなみに0.8以下が膝蓋骨低位症と判断されます

 

膝蓋骨高位と関連のある疾患や問題

●Osgood-Schlatter病(オスグット・シュラッター)

●膝蓋腱断裂

●脳性麻痺(大腿四頭筋の過緊張)

●大腿四頭筋の短縮

※主に大腿四頭筋の問題により膝蓋骨高位は生じるものを考えてよさそうですね。

膝蓋骨高位で膝蓋骨上昇にともない脂肪体が引き上げれ、膝蓋骨下行時に脂肪体の一部が膝蓋骨に追い越されるようにして挟み込まれる場合、インピンジメントによる痛みの出現を認めることがあります

 

膝蓋骨低位症(patella baja;パテラ バハ)

膝蓋骨低位症では膝蓋骨が下方に位置する状態を言います。

先程も説明しましたは、Insall-Salvati ratio(ISR)の基準が0.8以下のものを膝蓋骨低位症といいます。

膝蓋骨低位と関連のある疾患や問題

●軟骨無形成症

●脊髄灰白炎(Polymyelitis)

●外傷や手術による膝蓋腱・膝蓋下脂肪体の線維化や癒着

膝蓋骨低位になると膝蓋大腿関節の内圧が高まっていき、階段の後段時など膝が曲がった状態になると、anterior knee pain(膝の前面痛)を引き起こしやすくなるとされています
膝蓋骨低位により、膝蓋下脂肪体の圧上昇により逃げ場を失った脂肪体がPF関節に入り込むことでインピンジメントを引き起こす可能性もあります

 

2.膝屈曲RON制限と膝蓋骨低位の関係性を示した文献

以下に示す文献では、

「TKA術後(PSタイプ)5年間における膝蓋骨の高さの有意な低下は、臨床転帰および膝関節屈曲の低下に影響を与える」と結論付けています。

つまり、膝蓋骨低位の場合は膝屈曲可動域の低下がリスクとして挙げられますよ。と考えることが出来ますね。

引用元:Bone Jt Open 2021;2(12):1075-1081.

詳細は以下の通りです。

【目的と方法】

●対象はPS-TKA(パテラ置換術施行)を施行した165膝

●平均追跡期間7.7年(5~10年)

●膝蓋骨の高さの変化と臨床転帰との関係を調査することを目的とした

●評価はX線写真にて実施(Insall-Salvati ratio(ISR)測定により膝蓋骨の低位と高位の評価を行った)

●最終フォローアップ時の膝蓋骨低位が臨床転帰、膝関節可動域(ROM)、Knee Society Score(KSS)に影響するかどうかを検討した

●ほかに、ISR測定相互信頼性を評価し、測定誤差を超えた膝蓋骨高さの減少量と臨床転帰の関係に注目した

【結果】

●TKA後5年間で、ISRは徐々に減少し、最終的に33名(20.0%)が膝蓋骨の低位を有していた

●最終フォローアップ時の膝蓋骨の低位は、膝のROMやKSSとは関連がなかった

●「膝蓋骨低位」と「膝蓋骨正常と高位(ISR≧0.8)」の2群に分けると、膝蓋骨低位群は膝蓋骨正常と高位群に比べ、術前から既に膝蓋骨の低位を認めていた

●最終フォローアップ時にISRが0.17以上減少した群では、膝関節の屈曲ROMとKSSが共に有意に減少していた

※この研究におけるISRの測定誤差は0.17

【結論】

膝蓋高はTKA後5年間の経過観察で徐々に低下していた

TKA後の測定誤差を超えた膝蓋骨高さの減少は、臨床転帰の低下と関連していた

 

3.膝蓋骨低位の場合の膝関節屈曲運動のイメージ

膝関節の屈伸運動で、膝蓋骨はどのように動くのでしょうか?

簡単に文章と画像にて説明していきます。

 

●膝関節伸展運動⇒膝蓋骨高位

※大腿四頭筋の筋収縮により膝蓋骨は上方(高位)に牽引される、その結果膝蓋骨高位となる

●膝関節屈曲運動⇒膝蓋骨低位

※伸展運動の反対となるため、低位の方向に膝蓋骨は動く、ただし大腿骨に対しての相対的な動きであり、膝蓋骨だけが明らかに動くわけではない

 

このように、膝関節屈伸運動にて膝蓋骨は上下に動きます。

 

ここで、これまでの話と関連付けてきましょう。

上記文献では、膝蓋骨低位と膝関節屈曲可動域に関連性を認めたと報告しています。

つまり、「膝蓋骨低位の場合、膝関節屈曲可動域も制限される」ということになりますね。

 

これだと先程説明した膝関節のバイオメカニクスと合わない感じになりますよね?

膝蓋骨低位なら、膝関節屈曲可動域は出やすくならないかな?的な思考が生まれるかと思います。

 

ここに関しては、「本来、関節運動に伴って膝蓋骨低位となる反応が、すでに低位になっていればこれ以上下がることが出来ないため、骨性の制限となる」という逆の視点も考えられると思います。

 

実際に、臨床場面でも大腿四頭筋の収縮を入れる際に膝蓋骨を上方に押し上げるようにアシストする運動を行った後、膝関節屈曲可動域の角度を測ると改善していることが多々あります。

つまり、膝蓋骨低位に対し正常の位置にアライメント修正を図ることで、いざ膝関節屈曲が起こる際に、膝蓋骨が下がるスペースが出来るようになるということですね!

 

こういった視点で考えると、膝蓋骨低位の問題と膝関節屈曲可動域の関連性は高いといえるわけですね。

 

 

4.まとめ

今回は、膝蓋骨低位と膝関節屈曲可動域の関連性について文献を交えて考えてきました。

TKA術後のリハビリを行い際に、膝関節屈曲可動域の拡大が容易に得られる場合とそうでない場合が思っているよりも大きく分かれるし、問題もはっきりわからない事があります。

 

今回の膝蓋骨低位の問題は、こういった「なんでこの患者さんは膝が曲がらないのか?」という問題を解決するひとつの因子になると思います。

 

それでは本日はこの辺で!

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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