伏在神経由来の膝内側痛に対するリハビリについて

膝関節について

どうも。

管理人のKnee-studyです。

 

今回は前回記事にした”伏在神経”についての続きです。

~前回記事~

膝内側の痛みの原因となる伏在神経の問題について
伏在神経由来の痛みは主に膝前内側部に痛みを引き起こします。その他の特徴としては、膝前内側部の痛みに加え、下腿内側近位部から足関節内果までの知覚異常が挙げられます。膝OAの膝痛や人工膝関節術後の膝内側痛で比較的多く遭遇する原因になると思われます。

 

前回の記事では、伏在神経の解剖から絞扼部位とその症状についてまとめていきました。

今回は、その概論部分を踏まえて、実際の評価から治療の流れをまとめていきたいと思います。

 

伏在神経の問題が膝内側部の痛みを引き起こす可能性があることを理解できても、実際に何をどうすればいいのか?といった悩みが起こります。

 

患者視点から考えると、

「伏在神経が膝内側の痛みと関わっている」ことを説明されることよりも、

「膝内側の痛みが治るor軽減する方法」を知りたいわけですよね。

 

長々と、伏在神経の説明を行うよりも、

評価を行い実際に治療まで行って痛みないし、膝の可動性が大きく改善された方が患者さんへの信頼感は大きくなります。

実際に実行した後に説明をした方が理解度は高くなると思います。

 

ということで、今回は伏在神経に対する評価と治療についてまとめていきます。

 

1.伏在神経の絞扼によって生じる膝内側痛に対する理学療法と効果

いくつかの文献では以下のように記されています。

 

●伏在神経の絞扼症状の改善には、内側広筋大内転筋の柔軟性改善による広筋内転筋板の緊張軽減と、これらの筋の過剰収縮を抑制するためのアライメント調整が必要

 

縫工筋自体のストレッチや大腿遠位部を中心とした縫工筋周囲の柔軟性改善が有効

 

●股関節内外転と膝関節の屈曲伸展を組み合わせた伏在神経の滑走を行う

 

内側広筋、縫工筋、長内転筋などのストレッチやそれらの筋群の筋緊張を更新させている膝関節運動の是正、安定化などが提案されている

 

上記の内容から、いくつかのキーワードが出てきますね。

□内側広筋や内転筋(大内転筋)の柔軟性改善⇒広筋内転筋板の緊張軽減が目的

□膝に対するアライメント調整⇒伏在神経の絞扼が起こりにくい環境にすることが目的

□縫工筋そのものの柔軟性改善と縫工筋周囲の緊張改善⇒縫工筋貫通部での絞扼の改善が目的

□伏在神経の滑走性改善⇒神経そのものの滑走性改善が目的

 

こういった部分を意識して伏在神経の絞扼障害に対してアプローチを行っていきます。

 

 

2.伏在神経の絞扼に対するアプローチ方法の例

上記では、伏在神経の絞扼による膝内側の痛みが生じている場合に、治療の対象になる組織や方法を紹介しました。

ここからは、上記の治療対象となる組織を念頭に起きつつ、実際のアプローチ例を紹介します。

ここでは、絞扼部位の特定方法とその改善する方法について紹介します。

 

①内転筋管(Hunter管)へのアプローチ

図:内転筋管(Hunter管)

内転筋管は、内側広筋の後面でかつ大内転筋の前面で、両者の間を走行しています。

この内側広筋と大内転筋が交わる部分に”広筋内転筋板”が存在しており、そこが内転筋管(Hunter管)と言われています。

 

内転筋管(Hunter管)の絞扼の有無を評価する方法

図:内転筋管(Hunter管)の絞扼症状の評価方法

 

【方法】

●側臥位になり、上方にある側の下肢の股関節を伸展・外転位に誘導する

●上記肢位にて、大内転筋を緊張させた状態にし、そこで内側広筋の等尺性収縮(膝伸展運動)を促していく

●内側広筋の収縮により、”広筋内転筋板”を緊張させることで疼痛の再現性を評価する

※広筋内転筋板の緊張により、内転筋管(Hunter管)の径を狭めることで絞扼症状の再現性を評価する

 

【効果判定】

・上記評価にて、伏在神経の支配領域に痺れや疼痛が出現すれば伏在神経由来の膝痛であると判断

・内側広筋の収縮を促しても膝痛の再現性がない場合は、陰性と判断

 

内転筋管(Hunter管)の絞扼症状を軽減させるアプローチ方法

内転筋管(Hunter管)が原因で生じる伏在神経の症状を改善させる場合は、

単純に「内転筋管(Hunter管)を構成している組織の柔軟性を改善させていくこと」がポイントになります。

内転筋の後方、そして大内転筋の前方に内転筋管が存在するため、主に内側広筋・大内転筋の柔軟性改善を図って行きます。

 

 

また、伏在神経を取り巻く周囲の組織の環境改善以外にも、「伏在神経自身のの滑走を促す」こともポイントになります。

伏在神経は、股関節外転と膝関節屈曲により伸長されます。

つまり、逆の股関節内転+膝関節伸展で伏在神経は弛緩することがわかるため、この運動を繰り返すことで伏在神経の滑走を促すことが出来ます。

 

【伏在神経の滑走性改善】

・股関節外転+膝関節屈曲=伏在神経は伸長

・股関節内転+膝関節伸展=伏在神経は弛緩

この滑走運動に合わせて、内転筋管(Hunter管)部を触知しながら行います。

ちなみに、この滑走運動を行う前に上記で説明した内転筋や大内転筋の柔軟性を出してから行なう方が効果的となります。

 

②縫工筋貫通部へのアプローチ

縫工筋貫通部に関しては、内転筋管(Hunter管)よりも遠位に存在します。

内転筋管とは違い、縫工筋単体での問題となるため、治療はシンプルになります。

 

縫工筋貫通部での絞扼の有無を評価する方法

図:縫工筋貫通部での絞扼症状の評価方法

【方法】

●股関節の伸展、内転、内旋、膝関節伸展位にて縫工筋を緊張させた状態に誘導する

●上記肢位の状態で、膝関節の屈伸運動を徒手にて誘導する

●その際に膝関節前内側部に伏在神経由来の疼痛の再現を確認

※縫工筋自体の収縮と弛緩を繰り返すことで、貫通部での絞扼症状の可否を確認する

 

【効果判定】

・上記評価にて、伏在神経由来の疼痛が再現されれば陽性と判断

・上記肢位での膝屈伸運動で膝内側部に症状(伏在神経由来の疼痛)がなければ、その他の伸長痛などがあっても陰性と判断

 

縫工筋貫通部での絞扼を改善するアプローチ方法

まずは、先ほどと同様に、「縫工筋への直接的なアプローチ」を行っていきます。

縫工筋に対してのリラクセーションやリリース、もしくはストレッチを選択します。

 

 

そして二つ目ですが、こちらも内転筋管(Hunter管)の時と同様に、「伏在神経の滑走性改善を促す」ことを行っていきます。

 

スタートポジションは、縫工筋の伸長位となります。(股関節伸展、内転、内旋位+膝関節伸展)

そこから、真逆の動きを誘導していきます。(股関節屈曲、外転、外旋+膝関節屈曲)

上記の運動を繰り返し行うよう誘導していきます。

【伏在神経の滑走方法のまとめ】

・縫工筋伸長位⇒股関節伸展、内転、内旋+膝関節伸展

・縫工筋弛緩位⇒股関節屈曲、外転、外旋+膝関節屈曲

縫工筋弛緩位では、開排姿勢を取るように誘導(股関節の開きと膝関節の屈曲誘導を意識的に行う)

上記運動を繰り返したのちに、再度縫工筋伸長位(股関節伸展、内転、内旋+膝関節伸展位)での膝屈伸運動を繰り返した際の抵抗感や膝内側の痛みが軽減していれば効果的であったと判断します。

 

3.まとめ

今回は、前回からの続きで、伏在神経についてまとめていきました。

伏在神経の解剖が理解出来た後は、実際の治療方法の理解が必要になります。

 

今回の記事で伏在神経に対する治療アプローチのイメージがついたと思います。

膝の内側の痛みで伏在神経系の症状に該当すると思った際は是非実践してみると意外な効果を得ることになるかもしれません。

 

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

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