歩行時に重要なdouble knee actionとは?~膝OAやTKA後の歩行のチェックポイント~

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膝関節について
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どうも。管理人のKnee-studyです。

今回は、膝関節についてです。

「いまさら聞けないシリーズ」として、復習を兼ねて言語の理解を進めていきたいと思います。

これは管理人である私自身の勉強がメインとなります…。

 

いつも臨床では「knee actionが出ないな」と言語化しています。

正式にはdouble-knee-actionであり、歩行中に生じる膝の屈伸運動になります。

 

今回はこのdouble knee actionについてまとめていきたいと思います。

 

 

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1.double knee actionとは?

double knee action = ダブル・ニー・アクション

日本語では、二重膝作用と呼ばれます。

 

double knee actionは、正常歩行における膝関節の伸展-屈曲-伸展-屈曲という運動であり、踵接地時の衝撃の軽減及び重心の上下移動の振幅減少に役立つとされています。

 

この運動は、歩行時のスムーズな重心の前方移動に貢献しています。

変形性膝関節症の患者はこの運動が消失し、歩行の効率性を損なう原因となります。

 

 

要約すると、歩行時(1歩行周期中に)に膝関節が2回屈伸して、衝撃を軽減し、重心の上下移動も減らす働きがあるわけですね。

 

①double knee actionが出現するタイミング

double knee actionですが、立脚相と遊脚相でそれぞれ各一回ずつ膝関節の屈曲運動が生じるようになっています。

●荷重応答期(LR)

●遊脚初期(ISw)

この2つのタイミングで出現することになっています。

 

ちなみに文献上では、「荷重応答期(LR)に22.8±6.5°・遊脚初期(ISw)に69.7±6.3°の屈曲角度が認められる」とされています。

※立脚初期から中期にかけて膝関節が約20°程度屈伸運動をする、立脚後期から遊脚期にかけて膝関節が約70°屈伸運動をするということになります。

屈曲角度的にはISw時の方が大変そうに見えますが、LR時は荷重位でのコントロールになるため、こちらの制御も難しいものですよね。

 

②double knee actionのそれぞれの役割

●LRの膝屈伸は主に接地に伴う衝撃吸収を担っている

●ISwの膝屈曲は歩行時のクリアランスを確保するため

それぞれ役割は異なります。

前述しましたが、double knee actionには衝撃吸収と重心の上下動の制御の役割があります。それと同時にISw時は振り出した足が地面に当たらないようにする(クリアランス確保)役割もあります。

以下に歩行時におけるdouble knee actionの役割を詳しく説明します。

 

 

2.歩行におけるdouble knee actionの役割

円滑な歩行のためにはdouble knee actionは必須になります。

特に膝関節疾患のリハビリを行う上でdouble knee actionの出現は一つの評価ポイントにもなってきます。

以下に歩行時のdouble knee actionの役割について説明します。

図:歩行時におけるdouble knee actionの役割

 

①立脚相前半

【正常パターン(double knee actionが正常の場合)】

IC時に踵接地 ⇒⇒⇒ 前脛骨筋の遠心性収縮により下腿は前傾 ⇒⇒⇒ 大腿四頭筋の遠心性収縮により1回目のknee actionを調整 ⇒⇒⇒重心の正常な前方移動出現

 

荷重応答期に膝関節は20°程度(22.8±6.5°)屈曲運動します。踵接地直後より生じるヒールロッカーの作用と足部に対して体幹が後方に位置していることにより、床反力作用線は膝関節の後方を通過します。この時期、膝関節には外部屈曲モーメントが集中して生じ、これは大腿四頭筋の遠心性収縮で制御されています。

 

なお、筋の遠心性収縮は、他の収縮タイプと異なり、より上位の中枢機能が関与する特異な筋活動のシステムを要し、単に筋量・筋力を増加させることで改善するものではないと報告されており、単純に「大腿四頭筋を鍛えよう!」では解決しない問題となります。

 

【異常パターン(double knee actionが異常な場合)】

膝屈曲位でのIC ⇒⇒⇒ ロッカー機能の破綻 ⇒⇒⇒ 大腿四頭筋の遠心性活動↓ ⇒⇒⇒ 重心の後方化(+back kneeのリスク↑)

 

膝OAの場合は膝関節屈曲拘縮により踵接地を膝伸展位で迎えられないことになり異常パターンをより助長してしまう事もあります。

 

また、この時期に正常な筋活動が得られないことでラテラルスラスト(lateral thrust)を来すことにも繋がります。

 

 

②立脚相後半~遊脚初期

【正常パターン(double knee actionが正常の場合)】

 

立脚中期~後期にかけて大腿四頭筋の筋活動↓ ⇒⇒⇒ 2回目のknee action(膝の屈曲が出るタイミングで踵離地が生じる) ⇒⇒⇒ 足関節底屈筋の活動↑(膝の屈曲と連動して活動) ⇒⇒⇒ きれいな遊脚が出現

 

 

この時期の膝関節伸展は、反対側の下肢の振り出しの反動により生じます。

 

また、床反力作用線は膝関節の前方を通過するため、床反力は膝関節を伸展させるように作用するため、結果的に大腿四頭筋の活動は不要となります。

 

代わりに立脚期後半は足関節底屈筋群が積極的に前方推進に貢献しており、この強力な底屈筋群の活動は下腿の前方回転を安定させているわけです。

 

ただし、この底屈筋群の働きも、そもそも大腿四頭筋の力が抜けなければ得られるものではなく、膝OAやTKA後のこわばりがある場合は破綻しやすいフェーズであると言えますね。

 

 

【異常パターン(double knee actionが異常な場合)】

立脚初期のこわばりが継続(knee actionが出ない状況) ⇒⇒⇒ 大腿四頭筋の緊張が抜けないまま立脚後期へ移行 ⇒⇒⇒ 2回目のknee action破綻 ⇒⇒⇒ 足関節底屈筋の活動が出そうにも出せない ⇒⇒⇒ 代わりに骨盤挙上するorぶん回して遊脚を作る

※立脚初期の重心の後方化をそのまま引きずった結果の可能性もあり

 

この時期に、大腿四頭筋の緊張が落ちないために遊脚期に移る際にknee actionが出せなくなるといった問題が生じます。

 

「遊脚初期時のknee action改善には底屈筋群の強化が重要!」として、トレーニングしても思ったような反応が得られない可能性があり、その背景には上記のような大腿四頭筋の緊張緩和が得られていない事が絡んでいることがあります。

 

 

3.まとめ

今回は歩行時に生じるdouble knee actionについてまとめていきました。

有名なキーワードだけに至極当たり前のようにとらえがちとなりますが、意外と忘れているというか改めて学習するとハッとすることもありますね。

 

このブログも今回のような見返して勉強が出来る内容にもしていきたいと思っております。

今後も膝関節に関する重要なキーワードに関する内容についてもまとめていきたいと思います。

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

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