UKA(人工膝関節単顆置換術)とACL機能の関係性と重要性について

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UKA
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どうも。

管理人のKnee-studyです。

 

今回はUKAの適応についてまとめていきます。

適応と言ってもものすごく限局した内容になります。

大まかなUKAの概要は以前一つの記事にまとめていきました。

UKA(人工膝関節単顆置換術)について
UKAはよくTKAと比較される立場にありますが、身体への負担を考える上では圧倒的にUKAの方が望ましいわけですね。ただし、手術手技が困難で熟練した技術が必要になることから、実績のあるDrを探す必要があるわけです。手術の内容やコンセプトがいくら良くても、結局のところは「解剖学的に正確な位置にコンポーネントを設置できるか」に懸かってくる訳です。ここを失敗すると長期的な予後に影響を与える可能性が高くなり、再手術(再置換)やTKAへの変更を余儀なくされることにもなりかねません。

 

UKAはTKAと異なり、安定性に関わる靱帯がすべて温存します。

TKAの場合、多くは「PCLを温存するCR型」or「PCLも切除するPS型」の2つに大別されます。

今回の議題に挙がっているACLは基本的に切除するわけですね。

※BCRといったACLも温存するTKAが存在しますが、普及率はまだまだ低いです

 

UKAを行うメリットは自身の組織が多く温存され、かつ低侵襲であるため回復が早いとされている所にあります。

文書にすればメリットが多そうですが、適応を間違えれば術後の問題は多くなることが指摘されています

今回はそういったUKAの適応の基準の一つとなるACL機能に着目してまとめていきたいと思います。

セラピストでも術後の疼痛や可動域制限の原因を考える一つの要素となり、その後の治療アプローチの参考になる可能性があるため理解を深めていきたいですね。

 

 

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1.UKA適応とACL機能不全の関係性

そもそもUKAの適応とは何なのでしょうか?

●関節の拘縮が少なく膝関節の可動域制限が少ない

●O脚やX脚の程度が軽い(変形が軽度)⇒内反or外反強制で元のアライメントに戻るレベル

●膝の内側部分、もしくは外側部分のみが損傷、痛みがある

●関節リウマチではない

●膝の靭帯には異常がなくしっかりしている(ACL・PCL・MCL・LCL)

このような大まかなUKAの適応があります。

 

膝関節15°以上の屈曲拘縮ではACLの機能不全が生じている?

今回は、膝関節の可動域にフォーカスを当てていきます。

具体的な膝関節の可動域制限とはどの程度まで許容できるのでしょうか?

●膝関節屈曲ROM⇒100°以上(膝屈曲≧100°)

●膝関節伸展ROM‐15°以下(膝伸展≦-15°)

ネット上では可動域について様々言われており、また文献上でもまばらであるように思います。

上記ROMはUKAを行う上での最低限のROMと思っておけばいいかと思います。

 

ここで重要なのは、膝伸展ROMです。

膝伸展ROM‐15°以上の制限(膝関節15°以上の屈曲拘縮)がある膝では画像上、ACLの連続性が保たれていても機能不全が生じているとされています。

 

つまり、膝の伸展制限が強いOAに対しUKAが施行された際にはACLの機能が望めないということになります。

これは膝屈曲ROMの制限因子にもなり得るし、なにより不安定性を考えていかなければなりませんね…。

 

UKAによってカバーできる範囲は?

話が前後していますが、そもそもUKAの適応は、「前内側型のOA」であるとされています。

前内側型のOAって?

antero-medial OA=前内側型OA

前内側部の軟骨欠損があり、後内側の軟骨は温存されている状態のことをいいます。

このことから広範囲の軟骨欠損(外側の関節面のことが言うまでもなく)がある場合はUKAの適応ではなくTKAが推奨されるという事ですね。

 

ここで、ACLと絡めて話をまとめます。

【ACLが温存しているOAの場合】

●脛骨の前方が限局してえぐれてくるが、後方は温存される

●そのため膝を屈曲した際には残った後方の軟骨同士が関節を安定させてくれる

 

【ACL損傷ないし機能不全が生じているOAの場合】

●脛骨の前方化が生じ、大腿骨と脛骨関節面のcontact pointが後方化する

●結果的に脛骨後面の軟骨も欠損してくるために、UKAの適応から外れてしまう。

※UKAではカバーしきれなくなる

 

 

ACL損傷の有無でOA進行のパターンが異なる

上記の結果から、ACL損傷・機能不全の有無でOA変化の過程が若干異なってくるということがわかりました。

では、なにが本来のOA進行の過程となるのか?気になりますよね?

以下に紹介する文献は1991年と古い文献となりますが、OA変化の過程を示したものになります。

 

●ACLとantero-medial OAについて、正常ACLの膝OAでは、OA変化がantero-medialに限局しており、膝OAは前内側に始まり、後内側に進行するとしている

●ACL損傷は外側関節面の変性を助長する可能性がある

参考文献:White,S.H.,Ludkowski,P.F.,Goodfellow,J.W.:Anteromedial osteonecrosis of the knee.J.Bone Joint Surg.Br.,73:582-586,1991

 

このことから、本来のOA変化は、「脛骨の前内側面から始まり、後内側に進行していく」ということがわかります。(内反型のOAに限る)

そして、このOA変化の過程にはACLの状態が大きく関わっていることが示されています。

 

何度も繰り返しますが、

通常の前内側型のOAでは、軟骨の前方だけがすり減っており、後方部は十分な厚みが残っているわけです。

この場合が、UKAの良い適応となるわけですが、ACL損傷・機能不全の場合はcontact pointの後方化が生じ、結果として後内側の軟骨欠損も生じることとなりUKAの適応から外れてくるようになるわけですね。

 

なので、UKAの適応を考える上でACLの評価は大事ということがわかります。

 

2.まとめ

今回はUKAの適応を考慮する上でACLの状態を評価する事の重要性についてまとめました。

セラピストがACLの状態をチェックしたからといって完全にACLの状態を把握できるわけでもないですし、なにより手術するのはセラピストではなくDrであるため、今回の内容がセラピストにとって非常に重要となることもないでしょう。

 

しかし、このACLの状態を事前に把握できていれば、

術後のROM訓練や筋力訓練を行うための一つの参考になるということは間違いなく言えると思います。

【ROM訓練】

●脛骨の前方化が生じていれば、相対的に大腿骨は後方に位置しているため、すでにロールバックが生じている状態?屈曲ROMは比較的スムーズに出るか?もしくは不安定になっていないか?

【筋力訓練】

●脛骨の前方化を相殺するためにハムストリングスの強化を優先すべき?

●大腿四頭筋の強化の方法は?等尺性?等張性ではどこに抵抗を掛ける?

 

という形で、今回はACLの重要性について考えていきました。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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