どうも。
管理人のKnee-studyです。
今回は人工膝関節(TKA)についてです。
TKAに限らず、膝OAでも膝の痛みについて深く考えることがあると思います。
特に膝内側の痛みや前面の痛みですね。
膝前面の痛みについてはAnterior knee pain:AKPと表現され、そこにはいくつもの問題が存在しているとされています。
このAKPのなかで、よく耳にするのが「膝蓋下脂肪体の痛み」ですね。
膝蓋下脂肪体の痛みについては以前の記事でも紹介しましたが、他の組織よりも痛みを感じやすい組織のようですね。
そのため、膝の痛みの代表各として挙げられます。
今回はこの膝蓋下脂肪体がTKA術後の痛みと関連しているのか?について考えていきます。
ちなみに当院では術中に膝蓋下脂肪体を切除してしまうようです…。
全部切除しているのか?部分的に切除しているのか?疑問に思う部分もありますが、現状では脂肪体の問題を除いて考えるようにしています。
1.TKA施行時の膝蓋下脂肪体の扱いについて
TKA術後の痛みで膝蓋下脂肪体の関連性を説いている研究報告はいくつか存在します。
エコーにて膝蓋下脂肪体を同定し、可動域との関係を評価したりなどですね。
先程も述べましたが、当院では術中に膝蓋下脂肪体を切除すると主治医から説明されています。
膝蓋下脂肪体切除に関しては、「術野の確保のため」に切除するとのことです。ただし、”すべて”とは言っておらず、あくまで術野の確保のためということで一部切除なのか全切除なのかはまたタイミングをみて確認しようと思っている所です。
と、まぁ私自身はTKA術後は膝蓋下脂肪体が無くなっているという認識でいたため、TKA術後の膝蓋下脂肪体に対する研究報告を見た時は「えッ!?」と思いました。
膝蓋下脂肪体が存在するならば、術後痛に対するアプローチの内容もまた少し変わってくる訳で改めて調べ治すこととしました。
ちなみに、人工膝関節全置換術[TKA]のすべて改訂第2版の中では、以下のように記されています。
「一般に、外側へのアプローチが困難な原因に膝蓋下脂肪体の存在がある。膝蓋下脂肪体の切除の報告もあるが、温存することで膝蓋腱の血流の温存が出来る。膝蓋下脂肪体を扁平鉤でよけ、ラスパトリウムにて剥離すると外側までの視野が容易に確保可能となる」
人工膝関節全置換術[TKA]のすべて改訂第2版より抜粋し引用
とこのように記載されています。
TKAの進入路自体、膝の内側部分からが大半を占めているため、やはり外側までの術野を確保しようとした際、膝蓋下脂肪体の存在が邪魔になってしまうのでしょうね。
2.TKA術後の膝蓋下脂肪体切除の有無についての研究報告
上記の内容から、TKA術後の膝蓋下脂肪体は結局切除するの?しないの?と疑問に思うところでしょう。
実際に、TKA施行時に膝蓋下脂肪体の切除を行うかどうかを調べた報告があります。
以下に説明する文献は、英国(イギリス)の外科医を対象とした調査となっています。
対象の外科医は269名で、Webでの調査を行っています。
その内、173名の外科医から回答を得られ、
IPFP(膝蓋下脂肪体)を完全切除が23.1%、部分切除が 62.4%、保存が9.8%で、約40%が切除の効果を感じた
と報告しています。
この研究報告は海外のものであるため、外科医の考え方や志向が異なる可能性がありますが膝蓋下脂肪体の切除の如何については上記のような結果となっています。
割合として多いのが、「部分切除」であり、TKA術後も膝蓋下脂肪体が残存していることを示しています。
つまり、膝蓋下脂肪体への介入もしっかり考えていく必要があるというわけですね。
3.まとめ
今回はTKA術後の膝蓋下脂肪体の有無について考えていきました。
膝蓋下脂肪体の重要性については広く認識されていると思いますが、手術により切除するのか否かについては考えたことがないという方が多いのではないでしょうか?
TKA術後のリハビリについてスタッフ間で話をする際に、TKA術後も膝蓋下脂肪体は存在しているものと判断して話している方が多いように思います。
実際はそこにあるべき組織が存在していなかったり、違った形で存在している可能性があることを今回感じさせられました。
意外と当たり前と思っていることでも、しっかり手術内容を把握していないと意図して行った理学療法が全く意味をなしていない可能性もあるという事があるということをしっかり理解して臨床を行っていきたいですね。
それでは本日はこの辺で。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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