変形性膝関節症に対して大腿四頭筋の筋力トレーニングはなぜ有効なのか?

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変形性膝関節症(膝OA)の理学療法
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どうも。

管理人のKnee-studyです。

 

今回は、変形性膝関節症の理学療法について記事にしていきます。

 

変形性膝関節症に対して、多くの場合大腿四頭筋の筋力トレーニングを行っているのは実情であると思います。

今回はその変形性膝関節症に対して行う大腿四頭筋の筋力トレーニングはなぜ有効なのか?について考えていきたいと思います。

 

 

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1.大腿四頭筋のトレーニングの理論的根拠

変形性膝関節症の筋力トレーニングとしては、大腿四頭筋の筋力トレーニングが古くからおこなわれてきました。

今でも、変形性膝関節症や膝の痛みに対して行う筋力トレーニングとしては、大腿四頭筋の筋力トレーニングが最も勧められています。

 

大腿四頭筋の筋力トレーニングを効果的としている報告の理論的根拠としては、以下の通りです。

 

①大腿四頭筋はショックアブソーバーであり、大腿四頭筋の弱化は、膝の変形の進行を早める

②動物実験において大腿四頭筋のトレーニングにより生じる関節圧迫力は関節軟骨の強さやサイズ、弾力性を増加させ、軟骨の退化防ぐ

③トレーニングによるGate Control mechanism効果

④トレーニングにより血流の増加や軟骨への栄養物の増加を認め、結果的に痛みの減少をきたす

⑤トレーニングにより関節周囲の関節包や腱、靭帯の強度が増加し、関節障害を予防する

⑥トレーニングにより腫脹を減少する

 

などが示されています。

市橋 則明ら 変形性膝関節症に対する筋力トレーニング再考 理学療法学 2001 年 28 巻 3 号 p. 76-81より一部改変し引用

 

このように、大腿四頭筋のトレーニングは膝関節そのものに好影響を与えるとし、さらに変形性膝関節症の予防にも貢献するとされています。

 

 

2.歩行など立位関連動作での大腿四頭筋の重要性

上記の内容から、大腿四頭筋のトレーニングの必要性は分かってきたと思います。

では、実際のADL場面では大腿四頭筋はどのように影響しているのでしょうか?

 

ここでは、歩行などの立位関連動作と大腿四頭筋の関係性についての文献を紹介します。

 

大腿四頭筋筋力は、下肢筋力の代表する筋として多くの研究の対象となっています。

整形分野では、高齢者の歩行能力や立ち上がり能力、立位バランス能力などとの関連が示され、その重要性が繰り返し報告されています。

 

このことから、高齢者のリハビリでは大腿四頭筋のトレーニングが強く勧められています。

とくに下肢の骨折後の理学療法や変形性膝関節症に対する理学療法において、大腿四頭筋の筋力トレーニングが積極的に行われているのが現状です。

 

歩行自立度を規定する要因として膝伸展筋力が最も重要である

この文献では、高齢患者の膝伸展筋力と歩行能力の関係について検討しています。

膝伸展筋力・年齢・体重・BMIそれぞれが歩行能力とどのように関与しているかを調べています。

結果的に、「院内歩行自立に有意に関連していた要因は膝伸展筋力のみであった」としています。

 

今回の検討の中では歩行自立度を規定する要因として膝伸展筋力が最も重要なものと考えられた。

 

西島智子,小山理恵子,内藤郁奈・他:高齢患者における等尺性膝伸展筋力と歩行能力との関係.理学療法科学,2004, 19(2): 95-99.

 

高齢者の立ち上がり動作の規定因子としては、等尺性膝伸展筋力が最も重要

この研究では、立ち上がり動作が障害される下肢筋力水準を明らかにすることを目的として、等尺性膝伸展筋力と立ち上がり能力の関連について検討しています。

異なる高さの座面高からの立ち上がり動作を可否を評価しています。

この研究の対象は、整形分野に絞ったものではなく呼吸器疾患や内科疾患がメインとなっています。

年齢、身長、体重、Body Mass Index (BMI)、等尺性膝伸展筋力、立ち上がり能力を評価対象としています。

立ち上がり能力によって分類した4群問を単変量解析で比較した結果、年齢・身長・体重・BMI・等尺性膝伸展筋力の全ての因子で有意差を認めています。

一方で、ロジスティック解析では、いずれの座面高からの立ち上がりにおいても、立ち上がりの可否に独立して影響を与える因子は等尺性膝伸展筋力のみであった」としています。

 

高齢患者の立ち上がり動作の規定因子としては、等尺性膝伸展筋力が最も重要と考えられた

 

大森圭貢,横山仁志,青木詩子・他:高齢患者における等尺性膝伸展筋力と立ち上がり能力の関連.理学療法学,2004, 31(2): 106-112.

 

3.まとめ

今回は、変形性膝関節症に対して大腿四頭筋のトレーニングが有効である理由について考えていきました。

その流れで、大腿四頭筋がADL動作にどのように影響を及ぼしているかについても文献を交えて紹介していきました。

 

大腿四頭筋=膝伸展筋となりますが、やはり大腿四頭筋の筋力が弱化すると移動能力や立ち上がり動作に支障をきたすことが研究で明らかにされています。

 

変形性膝関節症の病態も歩行障害や、膝関節の運動を伴う立ち上がり動作などが障害されます。

つまり、変形性膝関節症により生じるADL障害を考える上では、直接的な効果だけでなく、関節的にも大腿四頭筋のトレーニングが重要であることがわかります。

 

一つの筋だけにフォーカスすることは全体を見なくしてしまうため善し悪しとなりますが、重要度・優先度をつける上では知っておきたい知識になります。

 

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

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