変形性膝関節症の内反ストレスに対し、腓骨を挙上させることは効果的である可能性がある

変形性膝関節症(膝OA)について

どうも。

管理人のKnee-studyです。

 

今回は、変形性膝関節症についてです。

変形性膝関節症=膝OA(以下、膝OAと表記します)

 

膝OAの多くは内反変形であり、俗にいうO脚が大半を占めます。

この内反変形の場合、歩行時や立っている状態で膝が外側に偏位してしまいます。

 

ラテラルスラストなんかも同様で、歩行時に膝が外側へズレる症状も内反変形を助長します。

 

今回は、この内反方向へのストレスを軽減させる可能性のある腓骨の挙上について研究した内容を紹介していきたいと思います。

 

 

1.まずは腓骨の解剖と機能について

変形性膝関節症による内反ストレスは腓骨の挙上を誘導することで改善させる可能性があります。

そんな腓骨の構造と機能から簡単に紹介していきます。

 

腓骨は下腿に存在する骨になります。

下腿自体は、脛骨と腓骨で構成され、主に脛骨が体重支持に貢献し、腓骨はバランサーとしての機能を果たしているといわれています。

 

 

下腿の骨は2つ存在し、それぞれの主な機能が異なってきます。

●脛骨=体重支持

●腓骨=バランサー

 

 

この腓骨ですが、足関節の底背屈の動きに伴って、上下に動きます。

基本的に、足関節背屈時に腓骨は挙上し、底屈時に腓骨は下制するといわれています。

 

これが変形性膝関節症となり、内反変形が強くなってくると、腓骨の位置関係はやや下制位を取るようになります。

図:腓骨の位置関係と内反変形との関係性

プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版より一部改変し引用

 

腓骨の具体的な動きに関してはこちらの記事に足関節の背屈可動域と絡めて紹介していますのでよかったらご覧ください。

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足関節の背屈制限は日常生活に大きな支障をきたします。 今回は、そんな「足関節の背屈制限」に対するアプローチ方法を記事にしました。

 

 

2.変形性膝関節症による膝の内反ストレスと腓骨の関係性について

変形性膝関節症の内反ストレスと腓骨の関係性を研究した文献を紹介します。

今回紹介する文献です。
安廣 重伸ら、変形性膝関節症における、腓骨の高位と膝関節アライメントとの関係性について

 

研究の背景と趣旨

先行研究の結果から、腓骨の挙上または下制は、脛骨を介して膝関節の内外反運動に影響を及ぼす事が考えられるとし、脛骨に対する腓骨の高位と膝関節のアライメントの関係性について検討を行なっています。

 

要するに、レントゲンの結果から膝関節のアライメントを評価し、腓骨の下制とFTAなどとの関連性をみる研究ということですね。

 

対象者は、内側型膝OAに対し、片側TKAを施行した20名(40肢、男性5名、女性15名、平均年齢75±7.1歳)であり、膝の変形度合いと腓骨の下制度合いの関連性を研究しています。

 

結果

 

膝関節アライメントの左右差と腓骨下制率の関係については、FTA の左右差による分類において有意な群間差を認め、FTA の大きい側の腓骨下制率は大きいことが分かった。

 

つまり、膝の内反変形が強くなっている場合は、それに追従して腓骨の下制も強くなっていることが結果として出たということです。

ちなみにFTAは、大腿骨と脛骨のなす角で現わされる角度のことで、正常で176°前後であるといわれています。(正常でやや外反位になっているということです)

 

このFTAが大きいということは、膝は内反(O脚)に変形しているということを指します。

そして、FTAが大きいと、腓骨の下制量も大きくなるという結果が出たということです。

 

※FTAについてよくわからないという方はこちらの記事をご参照ください。

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文献に記された考察

●本研究の結果、左右の比較においては FTA と腓骨の高位に関係が認められた。

●FTAの増大により腓骨が下制させられるのではなく、腓骨を上位で維持できなくなる事で、歩行時の膝関節外方化の是正が困難となり、内反ストレスが増大することで、FTA が増大すると考える。

●腓骨の挙上によって膝関節の内方化、腓骨の下制によって膝関節の外方化を促せる可能性があると考える。

●FTA などの骨形態の変化がない場合でも、膝関節の内外反ストレスをコントロールする目的で腓骨の高位を操作することは効果が期待できると考えている。

 

この文献から得られた情報

●腓骨の位置関係のより、膝の変形度合いに影響をきたす可能性がある

●腓骨の挙上を誘導できれば、膝関節を内側方向へ誘導できる可能性があり、膝の内反ストレスの軽減につながる可能性がある

 

冒頭でも述べましたが、腓骨はバランサーの役割を担う骨になります。

この研究結果をみる限り、膝関節においても腓骨はバランサーの役割を果たしているのではないかと推測されます。

 

この研究結果をそのまま解釈すると、

腓骨の挙上をさせることで内反変形によって生じた膝内側の関節裂隙周囲の疼痛が軽減する可能性がある

ということになります。

 

実際に、痛みの原因は多岐にわたるため、直接的に疼痛軽減につながるかは定かではありませんが、膝関節にかかるストレス(内反ストレス)の軽減につながるのであれば、膝の関節を守る上で非常に重要なアプローチになると思われます。

 

今回紹介する文献の考察を引用させてもらうと、足底板に対するイメージも変わってきますよね。

FTAの増大により腓骨が下制させられるのではなく、腓骨を上位で維持できなくなる事で、歩行時の膝関節外方化の是正が困難となり、内反ストレスが増大することで、FTA が増大すると考える。

腓骨を上位に維持するために、足底板を挿入し、FTAの増大を予防すると、足底板挿入目的が少し具体的になってきます。

当然アプローチ内容も目的が明確になるため、具体的になってくることが予想されます。

 

 

3.まとめ

今回は、変形性膝関節症による内反ストレスと腓骨の関係性について文献を交えてまとめていきました。

●腓骨の位置関係のより、膝の変形度合いに影響をきたす可能性がある

●腓骨の挙上を誘導できれば、膝関節を内側方向へ誘導できる可能性があり、膝の内反ストレスの軽減につながる可能性がある

このように、変形性膝関節症の内反ストレスには、腓骨のコントロールが重要になる可能性が示唆されています。

 

内反変形した膝関節の場合、膝を内側に戻せば治るイメージがありますが、そのイメージを体現するための一つの方法が腓骨の挙上になると思われます。

 

構造を治すことは理学療法では困難になりますが、それ以上のストレスを軽減させることや筋バランスを変えていくことは可能になるわけで、正常な膝関節を長く保つためには非常に大事な要素になると思われます。

 

ということで、変形性膝関節症に対しては腓骨の位置関係もチェックしていきましょう。

 

それでは本日はこの辺で。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

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