どうも。
管理人のKnee-studyです。
今回は半月板切除術に関連する内容になります。
以前も同様の内容を記事にしましたがその際の内容は、半月板部分切除術 VS 理学療法でした。
半月板部分切除術は、膝関節の障害を抱える対象にとって一般的な治療法とされる報告もあります。
National Institute for Health and Care Excellence (NICE)の 「do not do recommendations (してはいけないこと・やらないこと推奨する事)」では、変形性膝関節症の治療の一環として関節鏡視下洗浄と剥離術を行うことは、明らかにメカニカルロッキングの既往歴がある変形性膝関節症でない限り、紹介しないことを推奨しています。
こういったエビデンスがある中でも、関節鏡視下での半月板部分切除術は、変性性半月板断裂に起因する機械的症状を治療する方法として、現在でも十分に確立された方法であるとの報告があります。
今回は上記背景がある中で半月板部分切除術が将来の人工膝関節置換術のリスクを3倍増加させる可能性があるといった内容の報告となります。
こちらは2023年のガイドラインにも載っている内容となります。
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それでは以下に内容をまとめていきたいと思います。
1.半月板部分切除術と人工膝関節置換術の関連性(手術に至るリスク)
今回引用する文献の紹介です。
Rongen JJ,et al.Osteoarthritis Cartilage.2017;25(1):23-9
半月板断裂に対して、関節鏡視下での手術を施行後に人工膝関節の置換術に至った割合を結果として見ています。
概要
【目的】
主要目的は、変形性膝関節症で関節鏡下半月板切除術を受けた患者が、将来人工膝関節置換術を受けるリスクが高いかどうかを評価すること【方法】
参加者は2004年2月から2006年5月までに4つの臨床センターに登録され、登録から108ヵ月後まで毎年追跡された
対象は4674人(58.4%女性)で年齢は45~79歳(平均年齢は62.3歳)、変形性膝関節症患者および発症リスクの高い患者がであり、そのうち3337人(71.4%)が最終追跡を受けた【主要評価項目】
追跡期間中に関節鏡下半月板切除術を受けた参加者の人工膝関節置換術のハザード比を、追跡期間中に関節鏡下半月板切除術を受けなかった傾向スコアマッチ参加者と比較した【結果】
・半月板切除を伴う関節鏡視下膝関節手術は、人工膝関節置換術のリスク増加(ハザード比3.0、95%信頼区間1.7-5.3)と関連することが示された
・335人の参加者が追跡期間中に関節鏡下半月板切除術を受け、そのうち63人(18.8%)が同じ膝の人工膝関節置換術を受けた
・傾向スコアをマッチさせた335人のうち38人(11.1%)が追跡期間中に人工膝関節置換術を受けた
・Cox比例ハザードモデルの結果、人工膝関節置換術のハザード比は、関節鏡下半月板切除術を受けなかった傾向スコアマッチ参加者に対する、関節鏡下半月板切除術を受けた参加者の3.03(95%CI(1.67-5.26))であった
【結論】
変形性膝関節症患者において、半月板切除を伴う関節鏡下膝関節手術は、将来の人工膝関節置換術のリスクを3倍増加させる
結果だけを見ると、半月板断裂に対し関節鏡視下にて半月板切除術を行った場合、人工膝関節への移行を3倍増加させるということになります。
つまり、半月板断裂に対して切除術を行う事に対しネガティブな結果を提示したことになります。
2.まとめ
今回は、半月板断裂に対して関節鏡視下での切除術を行う事のリスクについてでした。
結果として、半月板部分切除術は人工膝関節置換術に至るリスクを高めるという結果になりました。
これらの結果は、冒頭でも説明した変形性膝関節症患者を関節鏡手術に紹介しないことを推奨するNICEのdo-not do勧告(してはいけないこと・しないことを推奨する)を裏付けるものと文献内でも結論付けられています。
術後のリハビリを行う我々理学療法士は手術に関連するリスクだけでなく、手術そのもののリスク・背景を把握しておく必要があると改めて思い知らされますね。
単に術後のリハビリだから「筋力トレーニング・ROM訓練・歩行訓練」ではなく、今回のケース(半月板部分切除術後のリハビリを行う場合)であれば、目に見える問題だけではなくもっと広く考えていく必要があると思います。
●今後どうなる可能性があるのか?
●どうすればそのリスクが少しでも軽減(良い状態をキープ)できるのか?
こういった視点も持って術後リハビリに臨んでいきたいですね!
それでは本日はこの辺で。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!
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