どうも。
管理人のKnee-studyです。
今回は人工膝関節置換術についてです。
人工膝関節置換術には、関節面すべてを入れ替える「全置換術(TKA)」と内側or外側のみを入れ替える「単顆置換術(UKA)」の2種類があります。
TKAはそこからさらに機種が細分化されています。
以下の記事で紹介しています。
今回はこのTKAとUKAを比較した研究を紹介していき、現段階での人工膝関節置換術の考えかたを県としていきたいと思います。
1.UKAとは?
UKA=Unicompartmental Knee Arthroplasty
直訳すると、以下の通りになります。
・Unicompartmental=単顆の
・Knee=膝
・Arthroplasty=関節形成術
TKAの場合はTotal Knee Arthroplastyですから、すべての関節を入れ替えると直訳できます。
・Total=全体
・Knee=膝
・Arthroplasty=関節形成術
UKAの場合、現段階でTKAに比べ実績としては非常に低く、日本では年間7000件で、TKAの1/10程度しか行われていないようです。(2017年時点)
UKAは前十字靭帯と後十字靭帯の両者を温存でき、術後に膝関節の生理的運動が維持されるというメリットがあります。
ただし、適応年齢や肥満の程度、活動性の有無、さらには膝の変形の程度など様々な適応の基準があるため、対象となる幅はTKAに比べると狭くなるのが現状です。
そんなUKAですが、2019年に報告された研究ではTKAよりも推奨される結果となっています。
2.UKAはTKAに比べて、術後入院期間が有意に短縮し、患者報告での機能スコアが改善など認める反面、短期間での再置換リスクはTKAよりも高かった
University of OxfordのWilsonらは、UKAとTKAの優劣に結論はあるのかについて、1997~2018年に行なわれた研究を分類し、分類グループ別にアウトカムを比較する系統レビュー・メタ解析を行なっっています。
(6 RCT/7文献・17関節レジストリ+国家データベース研究・36コホート研究)
結果
●3つの研究グループの分析では、UKAはTKAより入院期間が短かった
●患者報告アウトカム尺度(PROMs)による疼痛スコアに有意差はなかった
●RCT以外の2グループにおいては機能的PROMsスコアはUKAの方が良好だった
●重大合併症発生に差はなかった
●TKA後の死亡はレジストリやデータベース研究で有意に高かった
●5年再置換率はUKAの方が全グループで高かった
●全原因早期再手術はTKA後の方が多かった
赤字:UKAを良しとする内容
青字:UKAを悪しとする内容
結論
TKAとUKAはどちらも、変形性膝関節症の治療のためには有効な選択肢となる。
(治療効果としてはTKA・UKAどちらも良好と言える)
UKAはTKAに比べて、術後入院期間が有意に短縮し、患者報告での機能スコアが改善し、死亡・静脈血栓塞栓イベントおよび主要心イベントの発生率が低かった。
(コストに重点をおいた系統レビューは、UKA選好を示唆している)
UKAの方が良好な結果をもたらしているが、一方で早期の再置換のリスクはUKAが高かった。
(5年時再置換率はUKAの方が高かった)
引用文献:
3.まとめ
今回はUKAについてまとめていきました。
近年ではUKAを取り扱う施設も増えてきているものと思われます。
同じTKA術後のリハビリプランでいいのか?とか経過はどうなの?とか初めて担当するときは迷いますよね・・・。
今回は紹介した研究結果から判断する限りでは、UKAの方がTKAに比べて術後の経過は幾分か早く、機能的な経過もUKAの方が良好であることがわかりました。
ただし、UKAの方が早期に再置換に至る可能性があることも頭に入れておく必要があるということも重要なポイントですね。
再置換に至る原因は不明ですが、術中の問題なのか、術後の問題なのかを考えながら術後のリハビリに取り組んでいく必要がありそうですね。
当院の傾向(当院ではTKAとUKA実施件数が同じ程度)としては、UKAの場合、TKAと比べて早期から膝関節の可動域は改善してくる傾向にあります。
つまり積極的な可動域訓練は”さほど必要がない”ということですね。
それよりも過度な可動域訓練では逆に不安定性をきたしてしまう可能性があるため、より筋力強化に注力する傾向にあります。
ということで、最期は少しまとまりが無くなりましたが、今回はTKAとUKAの比較を交えてUKAついての紹介でした!
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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