どうも。
管理人のKnee-studyです。
今回は、膝OA(変形性膝関節症)についての記事になります。
膝の変形に伴う疼痛が主因で各種ADL障害を来す上記疾患ですが、重症度に伴って手術適応か保存療法でいくかの判断がなされます。
膝OA(変形性膝関節症)の重症度や病態について改めて理解したい方はこちらの記事をご覧ください。
リハビリ場面では、手術後のリハビリおよび保存でのリハビリいずれの場面でも介入頻度は多く、病態に合わせたアプローチを行っていくわけですが、この術前後共によく見かけるトレーニングとして、今回のメインとなる”SLR運動”が紹介されています。
「膝の患者さんが来たらとりあえずSLR運動を指導しよう」
このように=で結び付けているセラピストもいるのではないでしょうか?
今回は、このSLR運動が本当に膝OA(変形性膝関節症)患者さんに有効なのかを考えていきたいと思います。
1.膝OA(変形性膝関節症)に対するSLR運動の有効性を説いた文献
早速ですが結論からです。
以下の引用文献からは膝OA(変形性膝関節症)患者に対するSLR運動は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と同等の効果があると報告しています。
下肢伸展挙上(straight leg raising:SLR)運動は非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)投薬と同等の効果がある
この研究では、在宅生活下での大腿四頭筋の筋力トレーニング(SLR運動)と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の両者をを比較検討しています。
結果的に両群共に開始前よりもすべての検討項目において改善傾向を示したと報告されています。
つまり、SLR運動とNSAIDsの効果に差はなかったという結果となっています。
この文献を解釈すると、「下手に痛み止めを飲むよりもSLR運動をしておけば、膝OA(変形性膝関節症)と診断された膝でもある程度症状を抑えることができますよ」
と理解できます。
当然、NSAIDsも痛み止めであり変形を改善させるとか、根本の治療薬ではないためSLR運動も膝の症状を改善させるというわけではないと思われます。
それでも、膝OA(変形性膝関節症)に対するSLR運動の効果が非常に高いことが理解できると思います。
2.まとめ
今回は膝OA(変形性膝関節症)患者に対するSLR運動の是非について考えていきました。
SLR運動については賛否あって、私自身もどちらかというと否定的な印象を受けていました。
※SLR運動は二関節筋である大腿直筋の活動を高めてしまい、単関節筋の活動が十分に得られないと解釈していることから…
このように、なにに着目しているかで効果の是非は変わると思います。
今回は、「自宅での運動」という前提で研究が進められているわけであって、入院中のセラピストが関わっている状況下での運動ではないわけです。
細かな運動示指や意識付けなど出来ない状況下であれば、シンプルに指導できるSLR運動は確かに効果的であると思われます。(SLR運動を否定的に捉えた場合の視点です…)
ということで、今回は膝OA(変形性膝関節症)に対するSLR運動の是非について考えていきました。
今回の内容で、膝OA(変形性膝関節症)に対するSLR運動の効果について理解できたと思いますが、「膝OAに対してSLR運動は必須だ!」とはならず、あくまで一つの情報として捉えていただければと思います。
●運動指導に対し理解が乏しい方の場合
●運動に対して消極的な方の場合
●効果的な運動指導の前に、運動の必要性を理解してもらいたい場合
このような場合にまずはSLR運動の指導を取り入れては…?
それでは本日はこの辺で。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!
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