どうも。
管理人のKnee-studyです。
今回は、膝関節のロールバック機構についてまとめていきます。
このロールバック機構は後十字靭帯(以下、PCL)の機能により生じる膝の正常な動きのことを指します。
ロールバック機構が機能することで、膝の屈曲がスムーズに行えるわけです。
正常の膝だけでなく、TKAにもこの機構を生かした機種が多く使われており、術後のリハビリを行う上で重要なチェックポイントになります。
今回はこの膝関節のロールバック機構について紹介していきたいと思います。
1.膝関節のロールバック機構ってなに?
まずは膝関節のロールバック機構についてまとめていきましょう。
膝関節のロールバック機構とは?
膝関節のロールバック機構とは、「膝関節における転がると滑りの複合運動」のことを指します。
膝関節の屈曲に伴い、大腿骨側が脛骨上を後方へ移動することをroll back(ロールバック)機構と呼びます。
図:膝関節のロールバック機構について
※膝関節の屈曲角度の増大に伴い大腿骨が後方に滑っていることがわかります。
ロールバック機構が生じることで何がどうなるのか?
膝関節の屈曲運動時、ただ単に脛骨上を大腿骨が転がるだけだと、思っているより膝は曲がりません。
膝関節内で転がり運動と同時に滑り運動が生じることで、膝関節はより深い屈曲を獲得し、大腿四頭筋のモーメントも増加し、膝関節を伸展する際の筋力の強度も与えられます。
つまり、ロールバック機構があることで、膝が良く曲がるようになるし、筋出力も上がるといった膝関節にとってはメリットしかない機構であるということですね。
実際の膝関節内の動きとしては、以下の通りです。
●膝の屈曲に伴い、大腿骨は脛骨上を後方移動する
↳大腿脛骨関節における接触点は、屈曲に伴い後方へと移動する
●このロールバック機構はPCLにより調整されている
↳PCLが緊張することにより、膝屈曲に伴って大腿骨の後方移動が実現する
●大腿骨の後方移動は非対称であり、大腿骨外側顆は内側顆に比べて脛骨外側顆後縁まで移動するため、結果的には屈曲に伴い大腿骨が脛骨に対して外旋する
↳内側は中央がくぼんだ凹面を呈しており、大腿骨内側の複合運動は滑りの割合が大きくなる
↳外側は平坦+後方に向かうにつれ下方に傾斜するため、大腿骨外側は転がり運動の割合が多くなる
膝関節のロールバック機構により得られる利点
ロールバック機構が正常に働くことでどんな利点があるのでしょうか?
①大腿四頭筋の筋力向上
まず初めは、大腿四頭筋の筋力面についてです。
膝屈曲位からの大腿四頭筋の収縮は、ロールバック機構が生じる場合とそうでない場合では、大きく差が出てきます。
上図のように、ロールバック機構が生じることで、大腿骨が後方に移動するため大腿四頭筋の収縮時の余計なストレスが軽減され、円滑な出力発揮が可能になります。
逆に、ロールバック機構が破綻した場合、大腿骨の後方滑りがなくなるわけで大腿四頭筋の収縮時に膝前面にストレスが生じ、かつモーメントの方向が大きく違ってくるため、収縮力も低下します。
②屈曲時の後方クリアランスを確保(後方インピンジメントを回避できる)
次は、ロールバック機構が機能することで、後方のインピンジメントを回避することが出来るということです。
上図のようにロールバック機構が破綻した場合、大腿骨側と脛骨側の後方組織が衝突し、それ以上の屈曲が困難になってしまいます。
この後方組織の衝突をロールバック機構にて大腿骨がやや後方に滑ることで回避し、円滑な膝屈曲が可能になっています。
2.まとめ
今回は、膝関節のロールバック機構についてまとめていきました。
膝の屈伸運動は単純に曲げ伸ばしされているわけではなくて、思っているより複雑な動きをしています。
関節内でも動きに伴って転がり運動だけ生じているのではなくて、同時に滑り運動も生じていることを理解することで、関節内の動きがよりイメージしやすくなると思います。
それでは本日はこの辺で。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!
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