どうも。管理人のKnee-studyです。
今回は臨床的な内容についてです。
膝OA患者さんなど外来で対応する際に、訴えとして多いのはやはり「痛み」だと思います。
痛みについても訴える場所や時期、動作は多彩ですよね。
中でも訴えとして多いのは、膝を曲げた際に「突っ張る感じがする」とか「張る感じがする」などが挙げられます。
「膝を曲げた際は膝裏の組織は縮まる方向にうごくのになぜ突っ張るのか?」と疑問に思うこともしばしばあります…。
今回はそんな膝OA患者さんの膝裏の痛みについて、一つの治療ポイントを紹介したいと思います。
今回参考にさせていただいた参考書はこちらになります。
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上記の教科書は学生自体から使っているセラピストは多いのではないでしょうか?
私が学生の頃は、第一版であり現在は第二版で動画がプラスになっています。
動画付きの書籍は2022年の12月に販売開始となっています。
治療内容というよりは触診メインの参考書になりますが、治療のヒントになる内容が多く含まれており重宝します。
と話が逸れましたが、これから「膝裏の痛み」について考えていきましょう!
1.膝裏の痛みに対する治療ポイント
膝裏の痛みの原因の一つに、内側半月板や関節包のインピンジメントが原因になっていることがあります。
半月板に関しては膝の屈伸運動に連動して前後に動きます。
この原理から考えると、半月板に付着している組織の機能障害によって半月板の動きが制限され、結果的にインピンジメントを引き起こすことが考えられます。
今回は、そういったインピンジメントが原因で生じた膝裏の痛みに対する対処法を考えていきます。
内側半月板に付着する半膜様筋は一つの介入ポイントになる
上記で説明したように、膝裏の痛みは内側半月板や関節包のインピンジメントが原因で生じることがあります。
つまり、治療としては「組織がインピンジメント(引っかからないように)しないように引っ張り出してあげればいい」ということになりますね!
この組織を引っ張り出してくれる組織として挙げられるのが、「半膜様筋」になります。
半膜様筋はハムストリングスの中の一つの筋であり、大腿の後面に位置しています。
膝裏の痛みの原因が内側半月板や関節包にある場合、この半膜様筋を介してアプローチすることで、膝を曲げた際の膝裏の痛みが”スッ”と消えていくことがあります。
半膜様筋は?
図:半膜様筋と半腱様筋について
運動療法のための機能解剖学的触診技術 動画プラス 下肢・体幹 改訂第2版 より一部変更し引用
半膜様筋は上図のように、大腿後面に位置しています。
ハムストリングスの一部として、股関節の伸展と膝関節の屈曲に作用しており、下腿の内旋にも関与しています。
同じ大腿後面の内側を走行している半腱様筋ですが、組織に違いから名称にも違いがあります。
※半腱様筋は薄筋や縫工筋と共に鵞足を形成します
※半膜様筋の臨床上特徴的なポイントとしては、内側半月板に付着を持っていること言うことです
半月板の移動をおさらい
以前の記事で半月板の動態について紹介しています。
【膝関節が屈曲する場合】⇒半月板は後方に移動する
【膝関節が伸展する場合】⇒半月板は前方に移動する
このことから、内側半月板が問題で生じる膝裏の痛みの場合、
「半月板の後方移動が生じていないのでは?」
と考えることが出来ますね。
【半月板の前方移動を引き起こす組織】
●内側・外側半月膝蓋靱帯
●横靱帯⇒膝横靱帯は、内側半月の前縁と外側半月の前縁をつなぐ靱帯
●内側側副靱帯(MCL)⇒内側半月板との付着を認める
【半月板の後方移動を引き起こす組織】
●半膜様筋⇒内側半月板に付着
●膝窩筋⇒外側半月板に付着
このことから、膝を曲げる際に半月板後方を阻害する組織が予想できるようになりますね。
半膜様筋を利用した膝裏の痛み改善のアプローチ
では、実際に膝裏の痛みに対するアプローチについてです。
とはいっても、方法はいたってシンプルです。
「半膜様筋の収縮を利用して内側半月板のインピンジメントを防ぐ」
これだけです。
図:半膜様筋と内側半月板の関係性(半膜様筋の動きによって半月板が変化する)
運動療法のための機能解剖学的触診技術 動画プラス 下肢・体幹 改訂第2版 より一部変更し引用
そもそもの原理として、半膜様筋の内側半月板に付着する線維は、膝関節が屈曲する際のインピンジメントを防ぐ役割を持っています。
つまり、この原理を利用してアプローチするだけになります。
方法としては、
膝関節の屈曲運動時に自動介助運動にて半膜様筋の収縮を入れながら誘導していく
といった流れになります。
●膝屈曲運動に対し抵抗を掛けながら屈曲を誘導していく
※半膜様筋の収縮を入れながら膝関節を屈曲させていく
このようなパターンを取ることで半膜様筋の収縮が入り、上記で説明した原理(半膜様筋による内側半月板のインピンジ抑制)に基づいて疼痛を改善させていく事が出来るわけですね。
2.まとめ
今回は、膝関節を曲げる際に膝裏に痛みが出る場合の問題について考えていきました。
今回の中では「半膜様筋へのアプローチをしっかりと行っていきましょう」と結論付けています。
しかし半月板にフォーカスして考えれば、外側半月板の方が膝関節の屈曲時の後方移動は大きいわけで、その外側半月板に付着する筋としては”膝窩筋”が挙げられるわけですね。
このように、今回紹介した以外の問題も多く存在しているといったことをベースに捉えた状態で、今回のような一つのアプローチの手段を理解して頂ければと思います。
それでは本日はこの辺で。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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